脂肪肝改善にHIITは有効?高強度インターバルトレーニングの可能性
脂肪肝と運動療法の重要性
脂肪肝(steatosis)は、肝臓に過剰な脂肪が蓄積した状態で、非アルコール性脂肪肝(NAFLD/MASLD)がその主な形態です。
この疾患はしばしば無症状ですが、進行すると肝硬変や肝がんのリスクが高まります。そのため、早期の介入が必要です。
運動療法は脂肪肝の改善に有効であるとされており、特に近年注目されているのが高強度インターバルトレーニング(HIIT)です。
HIITは、短時間の高強度運動と休息または低強度運動を交互に行うトレーニング法で、脂肪燃焼や代謝改善効果が期待できます。
HIITが脂肪肝に与える効果
PubMedの文献を基に、HIITが脂肪肝改善にどのように効果を発揮するのかを解説します。
①肝臓の脂肪減少
HIITは肝臓内の脂肪蓄積を効率的に減少させることが示されています。これは、エネルギー消費の増加と脂肪酸酸化の促進によるものです(文献: Keating et al., J Hepatol., 2015)。
②インスリン感受性の向上
HIITは短期間でもインスリン感受性を改善し、血糖値のコントロールを強化します。これにより、肝臓への脂肪蓄積を抑制することができます。
➂運動時間の短縮で高い効果
HIITは、従来の中強度持続運動(MICT)に比べて、短時間で同等またはそれ以上の効果を得られることが特徴です。忙しい現代人にとって実践しやすい運動法と言えます。
④肝炎リスクの低減
脂肪肝から進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH/MASH)のリスクも、HIITの抗炎症効果によって低下すると考えられます。
脂肪肝改善におすすめのHIITプログラム
脂肪肝改善を目的としたHIITプログラムの一例を紹介します。初心者向けの内容でも十分効果を発揮します。
①ウォームアップ(5分)
ウォーキングや軽いストレッチで体を温めます。
②HIITセッション(20分)
30秒:全力のスプリントまたは早歩き
90秒:ゆっくり歩くまたはジョギング
このサイクルを8回繰り返します。
➂クールダウン(5分)
呼吸を整えながら軽いウォーキングを行います。
このプログラムは、自宅や近所の公園でも手軽に行うことができ、特別な器具は必要ありません。
注意点と実践のコツ
HIITを脂肪肝改善に役立てる際には、以下の点に注意してください。
①医師の許可を得ること
脂肪肝の進行具合や他の疾患の有無を確認し、安全に運動を行うために医師と相談してください。
②無理をしないこと
初心者は、低強度のインターバルから始め、徐々に強度を上げていくのが良いでしょう。
➂適切な食事管理と併用
HIITの効果を最大化するためには、糖質や脂質を控え、タンパク質や食物繊維を多く含むバランスの良い食事を心がけましょう。
④継続が鍵
効果を実感するためには、週に2~3回を目安に、無理のない範囲で継続してください。
まとめ
HIITは、脂肪肝改善に非常に効果的な運動法の一つです。短時間で高い効果を得られるため、忙しい方にも適した方法と言えます。ただし、運動は全体の生活習慣の一部であり、食事管理や医療機関でのサポートと併用することで、より良い結果を得られます。
参考文献
①Keating, S. E., Hackett, D. A., Parker, H. M., et al.
"Effect of aerobic exercise training dose on liver fat and visceral adiposity."
J Hepatol. 2015;63(1):174-182.
②Buchheit, M., Laursen, P. B.
"High-intensity interval training, solutions to the programming puzzle."
Sports Med. 2013;43(5):313-338.