脂肪肝改善に筋トレが効果的?科学的根拠と実践方法 event_note2025.01.01「脂肪肝改善に筋トレが効果的?科学的根拠と実践方法」脂肪肝とは何か?脂肪肝(steatosis)は、肝細胞に過剰な脂肪が蓄積した状態を指します。 肝臓に脂肪が5%以上含まれる場合、脂肪肝と診断されます。 この状態は、飲酒が原因のアルコール性脂肪肝(AFLD)と、飲酒に依存しない非アルコール性脂肪肝(NAFLD)に分類されます。2023年より、NAFLDは新たに「MASLD(Metabolic Associated Steatotic Liver Disease)」と呼ばれるようになりました。脂肪肝は初期段階では無症状であることが多いですが、放置すると非アルコール性脂肪肝炎(NASH/MASH)に進行し、肝硬変や肝がんのリスクを高めます。そのため、早期の改善が重要です。脂肪肝の治療には節制のみではうまくいかないケースが多いので、かならず運動を入れるようにしてください。 特に筋肉トレーニングが重要です。 筋トレが脂肪肝改善に効果的な理由近年の研究では、筋力トレーニング(筋トレ)が脂肪肝の改善に効果的であることが示されています。①インスリン感受性の向上 筋トレはインスリン感受性を向上させ、血糖値のコントロールを改善します。脂肪肝はしばしばインスリン抵抗性と関連しており、この改善が肝臓への脂肪蓄積を減少させます(文献: Hallsworth et al., Diabetes Care, 2011)。②エネルギー消費の増加 筋トレは運動後もエネルギー消費が継続する「アフターバーン効果」を引き起こします。これにより、全身の脂肪燃焼が促進され、肝臓への脂肪蓄積が減少します。➂抗炎症効果 脂肪肝は炎症を伴うことが多く、筋トレによる抗炎症効果が肝臓の炎症を軽減します。これにより、MASHへの進行を予防します。 脂肪肝に適した筋トレメニュー脂肪肝改善を目的とする筋トレは、大筋群を刺激する全身運動と中強度の負荷を組み合わせることが推奨されます。①スクワット 太ももの大筋群を鍛えるスクワットは、基礎代謝を上げる効果があります。 フォームに注意しながら、1セット10~15回を3セット行いましょう。②プッシュアップ(腕立て伏せ) 胸や腕の筋肉を鍛える運動で、脂肪燃焼を促します。初心者は膝をついて行っても効果があります。➂ダンベルを使ったローイング運動 背中や腕の筋肉を鍛える運動で、姿勢改善やカロリー消費に役立ちます。④体幹トレーニング(プランクなど) 腹部の筋肉を鍛えることで、インスリン感受性をさらに向上させます。 注意点と実践のコツ脂肪肝の方が筋トレを始める際には、以下の点に注意しましょう。①医師の許可を得ること 特に脂肪肝が進行している場合や、他の持病がある場合は、運動を始める前に医師と相談することが重要です。②有酸素運動との併用 筋トレだけでなく、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を組み合わせると、さらに効果的です。➂継続が鍵 週に2~3回を目安に筋トレを継続することが大切です。短期間での効果を期待せず、長期的な視点で取り組みましょう。④適切な栄養管理 食事も脂肪肝改善には重要です。 糖質を控え、タンパク質を多く含む食品(鶏むね肉、魚、豆類など)を積極的に摂りましょう。 ただプロテインなどを必要以上に取る必要はありません。 まとめ脂肪肝の改善には、筋トレが非常に有効であることが科学的にも証明されています。ただし、筋トレだけでなく、適切な食事管理や生活習慣の見直しを併用することで、より効果的に脂肪肝を改善できます。医師の指導の下で、自分に合った運動を継続的に行い、健康的な生活を目指しましょう。参考文献:Hallsworth, K., Fattakhova, G., Hollingsworth, K. G., et al. "Resistance exercise reduces liver fat and its mediators in non-alcoholic fatty liver disease independent of weight loss." Diabetes Care. 2011;34(2):378-384.Sullivan, S., Implications of Insulin Resistance on NAFLD Progression. "The role of exercise in the management of non-alcoholic fatty liver disease and its impact on insulin resistance." Clin Liver Dis. 2009;13(4):461-472.