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脂肪肝治療におけるGIP/GLP-1受容体作動薬セマグルチドの役割

脂肪肝治療におけるGIP/GLP-1受容体作動薬の役割

脂肪肝とは?

脂肪肝は、肝細胞内に過剰な脂肪が蓄積する疾患です。
主に、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に分類されていました。
しかし現在、代謝異常関連脂肪肝(Metabolic dysfunction associated fatty liver disease:MAFLD)という新たな概念が登場しました。
この疾患概念は、アルコールの有無ではなく糖尿病や肥満などの代謝異常の併存を重要視してしています。
これにより、より予後にそくした診断・治療を行うことが可能になりました。
その中でも、炎症や繊維化を伴う進行性の代謝異常関連脂肪性肝炎(MASH)は、進行すると肝硬変や肝がんを引き起こす可能性があります。



GIPとGLP-1の役割

近年、脂肪肝、特にMASLD治療においてGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)およびGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬が注目されています。
今まで保険適応があったものは2型糖尿病治療薬のマンジャロだけでしたが、昨年新しくゼップバウンドが肥満症治療薬として保険適応承認されました。
これにより一部の脂肪肝(MASLD)治療に使用することが可能になりました。



GLP-1受容体作動薬

GLP-1は小腸から分泌されるホルモンで、食事後の血糖を低下させる作用があります。
具体的には、インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで血糖値を調節します。
また、胃内容排出の遅延と食欲抑制作用により体重減少も促します。脂肪肝に対しては以下のような効果が期待されています:

  • 肝臓内の脂肪蓄積の抑制
  • インスリン抵抗性の改善
  • 肝臓の炎症および繊維化の軽減



GIP受容体作動薬

GIPは小腸および十二指腸から分泌されるホルモンで、インスリン分泌促進作用があります。
従来は肥満や糖尿病における役割が注目されていましたが、最近の研究で脂肪肝に対する治療効果が示唆されています。
GIP受容体作動薬は以下のような効果を持つとされています:

  • 体脂肪の減少
  • エネルギー代謝の改善
  • 肝臓脂肪の蓄積抑制



最新治療と併用効果

現在、GIP/GLP-1作動薬(セマグルチド)が脂肪肝(MASLD)治療において注目されています。
MASLD治療において、体重の7-8%減量することが重要視されていますが、GIP/GLP-1作動薬(セマグルチド)は治験において、15~20%の体重減少効果が示されており、脂肪肝(MASLD)治療への有用性が期待されます。

参考文献:

  1. Friedman SL, Neuschwander-Tetri BA, Rinella M, et al. Mechanisms of NAFLD development and therapeutic strategies. Nat Med. 2018;24(7):908-922.
  2. Taylor R, Kaplan LM, Cline GW, et al. Combination Therapy With GIP and GLP-1 Receptor Agonists: A New Frontier for NAFLD Treatment. Gastroenterology. 2021;160(6):1802-1817.
  3. Jastreboff, A. M., Aronne, L. J., Ahmad, N. N., Wharton, S., Connery, L., Alves, B., & Kiyosue, A. (2022). Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. New England Journal of Medicine, 387(3), 205–216.



今後の展望

GIPおよびGLP-1受容体作動薬を活用した治療は、脂肪肝の改善を目指す新たな選択肢として期待されています。
これらの治療法と生活習慣改善と組み合わせることで、より高い効果を発揮することが可能になります。

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