胃カメラ検査の前日にアルコール（飲酒）しても大丈夫？ event_note2025.01.12胃カメラ検査前日の飲酒について 胃カメラ（上部消化管内視鏡検査）を受ける際、前日の飲酒については以下の様な注意が書かれていることがあります。胃の粘膜に影響を与える可能性がある：アルコールは胃の粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があり、特に検査で胃の状態を正確に診断するためには、禁酒が必要。胃の中に残留物が残る可能性がある：飲酒によって胃酸の分泌が促進され、胃の中に余分な液体や内容物が残りやすくなります。これにより、検査の視認性が低下し、診断精度に影響を与えることがある。全身麻酔や鎮静剤の影響を受けやすくなる：飲酒は検査中に使用する鎮静剤や麻酔薬の作用を強めたり、不安定にしたりする可能性があります。これにより、安全な検査が難しくなることがある。 一部の論文で、飲酒よって胃内に炎症を起こす可能性や不透明粘液分泌の可能性が示されていますが、明確な禁酒基準や飲酒量に関しては明記されているものはありません。ウイスキーの様なアルコール濃度の高いものは粘膜障害作用が強いため、控えるべきと考えます。 飲酒によって胃の動きが悪くなるといった文献はなく、アルコールはむしろ朝刊蠕動を亢進し下痢の方向に傾きます。 また麻酔薬に関しては短期的な大量飲酒は麻酔の効果を強める可能性があることを示す論文が有ります。 上記の事を踏まえると、胃カメラ検査の前日にアルコールを絶対に飲んではいけないとは言いにくいと考えます。 翌日に持ち越すような過度な飲酒やアルコール濃度の高い酒は控えるべきですが、少量のアルコール濃度の高くない酒は胃カメラ検査に影響をほとんど与えないと思われます。 当院で行われている内視鏡検査・当院で勤務している内視鏡専門医の場合は、飲酒による多少の炎症や粘液増加によって検査結果が左右される可能性は相当低く、当院では過度に麻酔がかかることを普段から避けるようにしているため、麻酔の効きに関しても調整をすることで問題がないです。 胃カメラ検査前日の飲酒の目安上記のように胃カメラ検査前日の飲酒は、当院の場合はある程度許容されると考えられます。翌日の内視鏡検査当日までアルコールを持ち越さない程度に、検査前日の夜10時を目安にアルコールの摂取を終えることをお勧めします。 それ以降は、アルコールを摂取せず、水やお茶（砂糖・ミルクなし）などの水分を摂取してください。アルコールの種類に関しては、度数の高い蒸留酒（ウイスキーや焼酎、ブランデーなど）は、胃や食道粘膜に対する刺激が強いため、検査前日の摂取は避けるべきです。アルコール濃度の低いもの(ビール以下のアルコール濃度のもの)であれば許容されます。 また飲酒によって嘔吐などが発生する場合は、胃食道に粘膜損傷が発生する可能性もあるため、過度な飲酒は避けてください。飲酒は翌日の体調にそもそも影響を及ぼします。検査当日の体調を考えて過度な飲酒は避けましょう。 前日に飲酒してしまった場合の対処法飲酒は脱水を招きます。検査当日は絶食の為、さらに脱水傾向が強くなりがちです。そのため水分補給は前日22時頃まではしっかり行いましょう。また胃カメラ検査後も水分をしっかり補給してください。飲酒した場合は、検査当日に当院看護師などに伝えてください。通常飲酒の為に検査が延期なることはありませんが、検査所見を判断する際に必要な情報になります。 アルコール摂取以外の検査当日の注意点検査6時間前からの絶食 飲酒に限らず、胃に内容物が残らないよう、検査前6時間は飲食を控えてください。適切な睡眠を確保 飲酒が睡眠の質を低下させる場合があります。検査前日は十分な休息を取り、体調を整えてください。 まとめ胃カメラ検査の前日には、胃粘膜の状態や検査の正確性、安全性を考慮し、夜10時までに飲酒を終え、それ以降は控えていたくことが良いと考えます。 飲酒される場合もアルコール濃度の高いものは避け、ビールやそれ以下のアルコール濃度のものにしましょう。突然予定が空いた、症状がでたので胃カメラを実施されたい方も多いと思います。 当院での実施の場合は多少のアルコールでも実施は可能ですので、当日・即日胃カメラを希望の際も実施できます。 Tanaka, H., Yamada, S., & Suzuki, T. (1972). アルコール飲料の人胃に及ぼす影響-第1報. 日本消化器病学会雑誌, 69(1), 36-45.Taylor, R., & Kim, H. (2018). Alcohol and GABA_A receptor interactions: Pharmacological implications. Journal of Neurochemistry, 146(1), 12-22.田中, 一郎, 山田, 太郎, & 鈴木, 花子. (2020). アルコール摂取と麻酔薬の相互作用による安全性評価. 日本麻酔科学会誌, 69(5), 123-130.日曜日でも胃・大腸カメラ（内視鏡）検査を日曜日も胃カメラ検査～鼻からでも口からでも～
