フィブロスキャン検査(脂肪肝、非アルコール性脂肪性疾患/NAFLD、非アルコール性脂肪性肝炎/NASH、肝硬変など)

フィブロスキャン検査とは?

フィブロスキャン検査とは、体の表面に特殊な「プローブ」をあて、そこから発せられる振動と超音波の伝わり方から肝臓の硬さや肝臓組織内の脂肪量を測ることができる検査です。
フィブロスキャン検査は痛みが全く無く、プローブからの軽い振動を感じるのみで検査が可能ですので、繰り返し安全に検査を行うことができます。
また1回の検査は1分もかからず終了するため、利便性もとても高い検査になります。
初回の方は腹部超音波検査を同時に実施させていただくことがあります。

どんな方がフィブロスキャン検査をやるの?

非アルコール脂肪性肝炎/NASH(ナッシュ)の疑いのあるかた

どんな方がフィブロスキャン検査をやるの?アルコール摂取が少ないのも関わらず、脂肪肝がある方の一部で肝硬変まで進展してしまう症例が近年散見されており、そのような病態を非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:nonalcoholic steato-hepatitis)と呼んでいます。
NASHの症例とNASHではない症例を鑑別するために、今までは肝生検と言う侵襲的な検査を行ってきました。
フィブロスキャン検査では従来行っていた肝生検を行うことなく、外来で簡単に肝臓の硬さを測定し肝硬変への進展の程度を調べることができます。
また非アルコール性脂肪性疾患をNAFLDと呼ぶこともあります。

脂肪肝があって慢性肝炎の可能性のあるかた

今までは肝硬変(肝繊維化)への進展の可能性のある方(NASHの方)に検査を行っていましたが、脂肪肝があって慢性肝炎の可能性がある方まで検査範囲が広がりました。これにより、より多くの脂肪肝の方に検査が実施ができるようになりました。
今まではある程度採血の数値が悪い方(繊維化が進行していそうな方)のみに検査をしておりました。今回検査対象が広がったことで、繊維化の手前の段階での検査が可能になりました。
採血のみではなくフィブロスキャンを使って脂肪肝を数値化して、治療の効果判定に更に使いやすくなりました。

 

肝硬変への進展の可能性のある(肝繊維化の可能性がある)他の肝臓疾患

肝硬変に至るときに、肝細胞は繊維化と言われる状態を起こします。繊維化がどんどん進んでいくと肝臓が硬くなり、昨日が低下していき肝硬変になります。
フィブロスキャンではこの繊維化の程度を見ることができ、簡便に繊維化が数値化できます。
今までは肝生検と言われる、とても痛い検査を入院で実施することでしか繊維化の程度は表せませんでしたが、フィブロスキャンによって外来で簡単に程度を調べることができます。
適応となる疾患は、原発性胆汁性硬化性胆管炎(PBC:Primary Biliary Cholangitis)、自己免疫性肝炎(AIH:Autoimmune hepatitis)、原発性硬化性胆管炎(PSC:Primary sclerosing cholangitis)やウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)などで、病状の進行により肝硬変に進展していく可能性のある方に実施をします。
フィブロスキャンは簡単に実施できる検査で、頻繁に行う事もできるので、治療の経過観察や治療開始の際の目安など様々場面で活用ができ、有用な検査です。

フィブロスキャン検査はどのようにやるの?

ベッドに横になっていただき、右側腹部の上の方(肋骨のあたり)の素肌に直接ゼリーをぬったプローブを当てるだけです。腹部超音波検査と同じ体制で実施可能です。
検査中はプローブからトントンという軽い振動を何回か感じるます。検査自体は早い場合は1分位で完了です。

フィブロスキャン検査ではどんな数字を測ることができるの?

肝硬度測定(VCTE:vibration-controlled transient elastograpy)

フィブロスキャン検査のプローブを使用し皮膚から肝臓に振動を伝え、その伝わる速度によって肝臓の硬さを測ります。
肝硬変に進んでいるほどに肝臓は硬くなりますので、そのような状態の場合は肝硬度が高い数字になります。
数字の程度によって肝臓の硬さのF0からF4まで評価します。

肝脂肪量測定(CAP:Controlled Attenuation Parameter)

肝臓内に脂肪がたまってくると超音波は伝わりにくくなっていきます。その原理を利用し、肝臓の脂肪を測定します。肝硬度測定と同時に行うことができます。
程度によってS0からS3まで評価をします。

 

よくある質問


価格はいくら程度ですか?

フィブロスキャン検査は慢性肝炎や肝硬変の疑いの保険適応が可能です。その際は3割負担でフィブロスキャン検査自体は600円程度ですが、保険適応の関係で採血や腹部超音波検査を合わせて行うことがあります。そのためフィブロスキャン検査以外の費用が発生する可能性があります。

検査の前の食事の注意はありますか?

腹部超音波検査を合わせて行うことが多いため、検査前6時間は絶食としてください。フィブロスキャン検査自体は検査の3時間前までに食事を済ませていただければ実施可能ですが、食事を取られていると、測定値が高くなる可能性があります。

どんな服装で行けばいいですか?

胸の下あたりまで洋服を捲り上げるので、上下が分かれた服装で来てください。女性の方は、ワンピースの着用は避けてください。

エラストグラフィとは違うのでしょうか?

エラストグラフィとは体の組織の硬さを検査する方法の総称です。超音波検査装置を使用して、甲状腺や乳腺の硬さを測ることが可能です。当院で採用しているフィブロスキャン検査は肝臓の硬さを測定するためのエラストグラフィの一種であり、肝臓以外の部位の測定はできません。フィブロスキャン検査は2003年からヨーロッパで使われており、他の肝臓のエラストグラフィ検査に比べても検査が簡便で、毎回の患者様の体の状態や術者毎の差が少ない検査機器です。

どんな時でもフィブロスキャン検査の数字は信頼できるのでしょうか?

測定範囲内に空気や水分、異常な組織などが含まれる場合は検査の信頼度が落ちるため、検査実施を行わない事があります。具体的には高度の肥満の方、腹水が溜まっている方、測定範囲内に腫瘍を認める方などになります。そのためフィブロスキャン検査が正しく実施できるかどうかの判断を、事前に腹部超音波検査を実施することで行います。初回の方は、久しぶりの方に腹部超音波検査をお願いさせていただいているのはこのためです。

検査の予約は取れますか?

フィブロスキャン検査の予約は可能です。ご予約を希望の方はこちらの「一般診療」の項目よりフィブロスキャンを選んでご予約下さい。ご予約外での検査も随時実施しています。ご予約優先のためお待たせすることもありますことをご了承下さい。

東長崎長崎駅前内科クリニック以外でも受けられる検査ですか?

機械があれば検査は実施できますが、東京都内にフィブロスキャンを行える施設がすくないためお住いの地域をお調べになってみてください。もし調べ方がわからない・・・などありましたら、当院での検査の相談は可能ですので是非ご来院下さい。当院では池袋、豊島区以外にも東京近郊にお住まいの方、埼玉県など遠方からもフィブロスキャン検査を実施に患者さんがいらっしゃっています。

著者
東長崎駅前内科クリニック 院長 吉良文孝
資格
日本内科学会認定 認定内科医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
経歴
平成15年 東京慈恵会医科大学 卒業
平成15年 東京警察病院
平成23年 JCHO東京新宿メディカルセンター
平成29年 株式会社サイキンソーCMEO
平成30年 東長崎駅前内科クリニック開院
 
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