肥満治療におけるインボディ(InBody)の活用とその効果
肥満治療において、体組成計であるインボディ(InBody)は、患者の身体の詳細なデータを収集するための強力なツールです。
インボディは、体脂肪率や筋肉量、内臓脂肪レベルなど、従来の体重測定だけでは把握できない数値の測定ができます。
本記事では、インボディの特徴や肥満治療での具体的な活用方法、その効果について解説します。
インボディとは?
インボディ(InBody)は、生体電気インピーダンス分析(BIA: Bioelectrical Impedance Analysis)を用いた体組成計です。
この技術は、身体に微弱な電流を流し、各部位の組織(筋肉、脂肪、水分)の電気抵抗値を測定することで体組成を分析します。
特徴として以下が挙げられます:
- セグメント分析:全身だけでなく、腕、脚、胴体ごとの体組成を測定可能。
- 内臓脂肪面積の評価:内臓脂肪の蓄積状態を視覚的に確認可能。
- 水分バランス:細胞内液と細胞外液の割合を測定し、むくみや脱水状態を評価。
- 筋肉量の部位別評価:筋肉量の不足や過剰な部位を特定できる。
肥満治療でのインボディ活用
1. 初期評価
肥満治療の第一歩は、患者の現在の身体状態を正確に把握することです。
インボディは、以下のようなデータを詳細に測定し、個別化された治療計画を立案する際に役立ちます:
- 体脂肪率:肥満の度合いを定量化。
- 骨格筋量:筋肉量の適正レベルを確認。
- 内臓脂肪レベル:内臓脂肪に関連した生活習慣病の存在を予測。
2. 治療計画の作成
インボディのデータを基に、患者ごとに異なる治療法(食事療法、運動療法、薬物療法)を設計します。
特に以下の点で効果を発揮します:
- カロリー管理の精度向上:基礎代謝量や活動代謝量を計算する際にインボディの測定値を活用。
- 運動指導:筋肉量の部位別データを用いて、筋力トレーニングの重点部位を決定。
3. 経過観察とモチベーション維持
治療の進捗を定期的にインボディで評価することで、患者に目に見える形で結果を示すことができます。
例えば:
- 体重が変わらなくても、体脂肪率が減少し、筋肉量が増加している場合:患者のモチベーションを維持する材料になります。
- 内臓脂肪の減少:心血管リスクの低下を確認。
具体例:肥満治療プログラムにおけるインボディの導入
肥満治療プログラムでは、インボディを初診時と定期的なフォローアップ時に使用します。以下はその具体的な流れです:
- 初診時:インボディで体組成を測定し、患者に結果を説明。肥満の原因や目標を共有。
- 治療中:1~2か月ごとに測定を実施し、体組成の変化を追跡。データを基に治療方針を調整。
- 治療終了後:目標達成後も継続的な測定を推奨し、リバウンドを防ぐ。
インボディ測定のメリット
1. 客観的データの提供
患者が自分の体の状態を視覚的に理解できるため、治療の必要性を認識しやすくなります。
2. 個別化されたアプローチ
インボディは、患者ごとの体組成を詳細に分析するため、画一的な治療法ではなく個別最適化された治療を提供可能です。
3. 患者のモチベーション向上
目に見える形での進捗確認が可能であり、患者の治療意欲を高めます。
継続的に測定を続けることが重要です。
東長崎駅前内科クリニックでのインボディ
当院でもインボディの導入を行い、日常診療に活用をしております。
インボディには様々なグレードが有り、当院で使用しているので医療機関での使用に耐えうるグレードの機器を使用しております。
脂肪肝の方や生活習慣病の方の経過観察に活用しております。
肝臓内科で肥満治療を!!
文献引用
Kyle UG, Bosaeus I, De Lorenzo AD, et al. Bioelectrical impedance analysis—part I: review of principles and methods. Clinical Nutrition. 2004;23(5):1226-1243. doi:10.1016/j.clnu.2004.06.004
Seoane F, Abtahi F, Mohamadlou H, et al. Bioimpedance spectroscopy: Review of principles and applications in clinical medicine. Physiological Measurement. 2021;42(1):01TR01. doi:10.1088/1361-6579/abd1b4