SURMOUNT-5試験は、肥満または過体重で、少なくとも1つの体重関連の併存疾患(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、心血管疾患)を有する成人を対象に、チルゼパチド(ゼップバウンドの有効成分)とセマグルチド(ウゴービの有効成分)の有効性と安全性を直接比較した第III相臨床試験です。
試験概要
- デザイン:多施設共同、ランダム化、オープンラベルの第IIIb相試験
- 対象者:2型糖尿病を有さない肥満または過体重の成人で、以下の併存疾患のうち少なくとも1つを有する者:
- 高血圧
- 脂質異常症
- 閉塞性睡眠時無呼吸
- 心血管疾患
- 期間:72週間
- 主要評価項目:ベースラインからの体重変化率
試験結果
体重減少効果:チルゼパチド投与群は、セマグルチド投与群と比較して、47%多い体重減少を示しました。
具体的には、チルゼパチド群で平均20.2%の体重減少が見られたのに対し、セマグルチド群では13.7%の減少でした。25%以上の体重減少達成率:チルゼパチド群の31.6%が体重の25%以上の減少を達成し、セマグルチド群の16.1%を上回りました。
安全性
- 副作用:両薬剤ともに、主な副作用は軽度から中等度の消化器症状(例:悪心、嘔吐、下痢、便秘)でした。
副作用の報告は今までの試験結果と出現頻度も同じでした。
結論
SURMOUNT-5試験の結果、チルゼパチドはセマグルチドと比較して、セマグルチドの方が肥満または過体重の成人において優れた体重減少効果を示しました。
ゼップバウンドが保険適応されたことで、肥満治療に大きな変化が出てくるものと考えます。
参考文献:
- Tirzepatide Bests Semaglutide in Head-to-Head Weight Loss Trial: Results From SURMOUNT-5. HCPLive. Published December 2024.
- Tirzepatide vs. Semaglutide for Obesity: SURMOUNT-5 Trial Topline Results. TCTMD. Published December 2024.