チルゼパチド(ゼップバウンドの有効成分)のSURMOUNT-1試験について event_note2025.01.01SURMOUNT-1試験についての解説SURMOUNT-1試験は、肥満または体重過多の成人を対象に、チルゼパチド(ゼップバウンドの有効成分)の有効性と安全性を評価した臨床試験です。この試験の結果は、肥満治療におけるチルゼパチドの有望性を示す重要なデータとなっています。試験概要対象者:BMIが30以上の肥満、またはBMIが27以上で肥満関連疾患を持つ成人試験デザイン:ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験期間:72週間治療群:プラセボ群、チルゼパチド5mg、10mg、15mgの4群に分けて投与主な評価項目体重減少率投与開始から72週後の体重のベースラインからの平均変化率を評価体重減少達成率ベースライン体重の5%以上、10%以上、15%以上の減少を達成した被験者の割合を比較試験結果体重減少率プラセボ群:体重減少は平均2.4%チルゼパチド群:5mg群:体重減少率15.0%10mg群:体重減少率19.5%15mg群:体重減少率20.9%体重減少達成率(15%以上の体重減少を達成した割合)プラセボ群:3.1%チルゼパチド群:5mg群:50.2%10mg群:69.5%15mg群:78.4%安全性副作用:主に軽度から中等度の消化器症状(吐き気、下痢、便秘など)が報告されましたが、継続使用により多くは軽減しました。重篤な有害事象:一部で膵炎や低血糖症のリスクが報告されていますが、頻度は低いとされています。試験結果の意義SURMOUNT-1試験の結果は、以下の点で意義深いとされています:体重減少効果の明確性チルゼパチドは肥満患者の大多数で臨床的に意味のある体重減少を達成しました。安全性と忍容性副作用は予測可能な範囲内であり、忍容性も良好と評価されています。肥満治療の新たな可能性チルゼパチドは、従来の肥満治療薬よりも大幅な体重減少効果があり、肥満治療の標準治療に変革をもたらす可能性があります。SURMOUNT-1試験は、ゼップバウンドの有効性と安全性を裏付ける重要なデータであり、肥満治療における第一選択になる可能性を秘めています。当院においてもMASH、MAFLD患者の治療に大きな影響を及ぼすと感じます。 従来の食事療法や運動療法のみでは病状が改善しないMASH,MAFLD患者への福音となると考え、注目している薬剤です。参考文献:Jastreboff, A. M., Aronne, L. J., Ahmad, N. N., Wharton, S., Connery, L., Alves, B., & Kiyosue, A. (2022). Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. New England Journal of Medicine, 387(3), 205–216.