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脂肪肝治療の新たな希望:レスメチロムの可能性

脂肪肝治療の新たな希望:レスメチロムの可能性

脂肪肝(脂肪性肝疾患)は、近年、健康診断や人間ドックで指摘される機会が増えています。
特に、アルコール性ではない脂肪肝疾患(NAFLD:非アルコール性脂肪肝疾患)は、生活習慣病の一環として注目されています。
さらに、NAFLDが進行して肝炎を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に至ると、肝硬変や肝がんのリスクが増加します。
この状況において、新しい治療薬として注目されているのがレスメチロム(Resmetirom)です。
本記事では、レスメチロムの特徴と脂肪肝治療における可能性を解説します。

 

脂肪肝とは?

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積する状態を指します。一般的には、肝臓重量の5%以上が脂肪となった場合に脂肪肝と診断されます。
初期段階では症状が現れないことが多いですが、以下のような進行のリスクがあります。

・肝線維化:肝臓の繊維化が進行すると、肝機能が徐々に低下します。
・肝硬変:線維化が進行して肝臓の正常な構造が破壊される状態。
・肝がん:肝硬変を背景に肝細胞がんが発生するリスクが高まります。

 

レスメチロムとは?

レスメチロムは、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)に選択的に作用する新しい治療薬です。
甲状腺ホルモンは脂肪代謝に深く関与しており、肝臓での脂肪酸分解を促進します。
この薬剤は以下のような作用が期待されています。

①肝臓脂肪量の減少
レスメチロムは、肝臓内の脂肪蓄積を直接的に減少させる効果があります。

②肝線維化の進行抑制
肝線維化の進行を抑えることにより、NASHの悪化を防ぎます。

➂代謝改善
LDLコレステロールや中性脂肪の低下も期待されており、脂質異常症の治療にも寄与します。

 

臨床試験結果

レスメチロムは、複数の臨床試験を通じて有効性と安全性が確認されています。

・ステージ別の効果:NASH患者において、肝臓脂肪量の大幅な減少が報告されています。
・安全性:副作用は軽度であり、忍容性が高いとされています。
・患者満足度:服用形態が経口薬であるため、患者のアドヒアランス(服薬遵守)が高いです。

 

脂肪肝治療の未来

現在、NAFLDやNASHの治療は、食事療法や運動療法が基本です。
しかし、これらの生活習慣改善だけでは進行を食い止められないケースが多いのが現状です。
レスメチロムのような画期的な薬剤の登場により、脂肪肝治療の選択肢が大きく広がる可能性があります。

レスメチロムは、従来の治療法と併用することで効果を最大化できると期待されています。
早期診断と適切な治療の組み合わせが、脂肪肝の進行を抑制し、健康的な生活を取り戻す鍵となるでしょう。

参考文献

①Friedman SL, Neuschwander-Tetri BA, Rinella M, Sanyal AJ. "Mechanisms of NAFLD and NASH: Understanding the Spectrum of Disease." Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2018;15(2):103-118. 
②Harrison SA, Goodman Z, Jabbar A, et al. "Resmetirom (MGL-3196) for Non-Alcoholic Steatohepatitis: A Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 2 Trial." Lancet. 2019;394(10213):2012-2024. 

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