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【きらきら栄養士通信】肝炎・肝硬変の食事療法

肝炎・肝硬変の食事について

前回は、肝臓の病気である肝炎・肝硬変について紹介させていただきました。
今回は、その食事療法についてお伝えさせていただきますね。

 

≪肝炎の食事療法の基本≫

・バランスの取れた食事
 必要エネルギー量:標準体重(kg)×25~30(kcal/kg)
 (標準体重:身長(m)×身長(m)×22(㎡/kg))
※C型肝炎の場合:必要に応じて鉄制限

 

その人の体格に合った量であることと身体に必要な栄養素がもれなく摂れることが大切です。

主食・主菜・副菜を揃え、様々な栄養素をまんべんなく摂るようにしましょう。

 

C型肝炎の場合、鉄の吸収が亢進しており、肝組織内に過剰な鉄沈着を認めることが多く、鉄摂取量が過剰にならないよう気を付ける必要がある場合があります。

血清フェリチン値が高く、肝機能異常が継続している(血清トランスアミナーゼが高い)場合は、鉄制限食の指示がある可能性があります。

 

≪非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の食事療法≫

・体重減少が病態改善に有効
・栄養量の目安は以下の通り
 エネルギー量:標準体重(kg)×25~35(kcal/kg)
 たんぱく質量:標準体重(kg)×1.0~1.5(g/kg)
 脂質量:摂取エネルギー量の25%以下
 アルコールは禁止(が望ましい)
・嗜好品の過剰摂取がある場合は、量を減らすようにする

 

糖尿病、脂肪肝、高血圧などを合併している場合は、脂質量や塩分などの制限も考慮します。体重減少が有効となると、運動療法も行っていく必要がありますね。

 

≪肝硬変の食事療法≫
・エネルギー量:標準体重(kg)×25~35(kcal/kg)
・バランスのとれた食事
・食物繊維の多い食事
・腹水や浮腫のある場合:塩分制限(5~7g/日)
・LES食の導入も検討
・BCAAの導入も検討
・必要に応じた鉄制限

 

肝硬変においても、基本的にはバランスよく食事を摂ることが大切です。
肝臓はあらゆる栄養素の代謝を担う臓器の為、肝硬変となると、すべての栄養素の代謝異常をきたしやすいです。

 

便秘が続くとアンモニアという毒素の濃度が上がり、脳へ到達して貯まると、肝性脳症という状態に陥る可能性があります。食物繊維をしっかり摂り、便秘を防ぎましょう。

浮腫や腹水をきたしやすい場合については、水を引き込みやすい塩分を摂りすぎないようにすることが重要です。加工食品や汁物の摂取量や頻度を控えめにし、減塩を心掛けましょう。

 

栄養を肝臓でためておくことが難しくなるため、絶食時間が長くなると、筋肉が減っていくことも心配です。そこでおすすめされているのがLES食です。Late Evening Snackの略で、就寝前に軽食を摂ることを指します。夜間はどうしても絶食時間が長くなってしまいがちですが、寝る前に軽食をとることで栄養状態を維持する効果が期待されています。

 

アミノ酸の中でもBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)は、エネルギー源として使われたり、アンモニアの処理のために使われたりするため、不足しやすくなります。そのため、BCAA製剤がお薬として処方されることもあります。

 

脂肪肝→肝炎→肝硬変へ移行するケースもあります。肝硬変の状態になると、上のような食事を摂るうえでの工夫が多く必要になるため、できるだけ早期に肝臓の異常を発見し、対策をとる必要がありますね。

 

当院では吉良院長が肝臓専門医でもありますし、和光市にある分院にも肝臓専門医がいます!また、クリニックでは珍しい(⁉)、痛みを伴わず肝臓の硬さや脂肪量をみることのできる、フィブロスキャンという機器も導入しています。検査で指摘されたことがあるという方は、ぜひ一度診察にいらしてくださいね。

 

また、管理栄養士による栄養指導も実施しております。東長崎駅前内科クリニックで栄養指導をお受けいただいた方は、筋肉量がわかる、InBodyでの体組成測定が無料!気になる方はぜひお気軽にスタッフまでお声がけください。

【管理栄養士による栄養指導】
・日時
月16:00
水16:00
木11:00、16:00
金16:00
土10:00、11:00

・所要時間
 初回30分、2回目以降20分

・料金(保険3割負担の方)
初回780円
2回目以降600円

・予約方法
受付や医師にお声がけ下さい

※医師の診察を受けていただき、指導の指示のある方が対象となります。

参考文献)
病態栄養専門管理栄養士のための病態栄養ガイドブック

 

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