リフィル処方箋は良いのか悪いのか・・・当院では対応します。 event_note2022.04.054月よりリフィル処方箋という制度が開始されます。 アメリカ、カナダ、フランス、イギリス等の諸外国ですでにリフィル処方箋が導入されています。 日本もこの度使用可能となりました。 リフィル処方箋とは?リフィルとは補充、詰め替え(refill)と言う意味です。 つまりリフィル処方箋とは、繰り返し使用できる処方箋と言う意味です。 ただし無尽蔵に使用できるわけではなく繰り返し使用できる回数が決められています。 リフィル処方箋の発行をうけた患者さんは、医師の診察を受けることなく、同じリフィル処方箋一枚で繰り返し使用し、クリニックに受診することなく薬局で薬を受け取ることができるようになります。 現在リフィル処方箋は1回あたり30日分、3回まで使用可能、つまり30日×3回で90日分まで処方が受けられます。 リフィル処方箋のメリット ・診察費、処方料金の軽減 ・受診に係る時間の節約リフィル処方箋のデメリット ・同じ処方しか受けれらないので、途中変化があった時に対応できない。 ・30日に1回は薬局に行かないといけない。その際は同じ薬局に行かないといけない可能性が高い。 ・受診回数が減ることで気づかず既存の病状が悪化するケースがある。 ・受診回数が減ることで今まで偶然見つかっていた病気が見つからなくなるケースがある。注意事項 ・睡眠薬など一部リフィル処方箋に対応できない薬剤があります。(今まで30日までの処方になっていた薬剤や保険適応上長期処方がしにくい薬剤) ・リフィル処方箋を発行に関しては特別な資格はなく、どこの医療機関でも発行可能ですが、発行するかどうかは医療機関の裁量なので、患者さんの希望のみでの発行はできない。 上記の様なメリット、デメリット、注意事項があります。 まだ始まったばかりの制度なので、発行していない医療機関が大多数かと思います。 一見するとリフィル処方箋を使用することは患者さん側にメリットが多く、発行しない医療機関は売り上げ低下を防いでいるだけの様に見えますが、一概にそうとは言えません。 定期通院している患者さんでも、状態が安定していない患者さんは多数いらっしゃいます。そのような方は診察・検査・問診のうえ薬剤の調整を行っています。このような方はリフィル処方箋を使用することで、病状のコントロールが難しくなる可能性があります。 腹痛、熱、下痢、便秘などの症状のある方はご自身が症状で困っているので、たとえリフィル処方箋の発行受けても困ったら受診をいただけると思います。 問題なのは、当院でもたくさん診させていただいている生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の普段症状がない患者さん達です。 検査や問診などで経過を判断をするのですが、ご本人の症状が乏しいので悪化を認識できずリフィル処方箋にした場合に病状が気づかず悪化するといことが起こりえます。 このような生活習慣病の患者さんの場合は、安定してから90日まで長期処方箋を今まで通り発行する、もしくはリフィル処方箋を発行して処方を受ける薬局で状態把握をしてもらうといった対策になります。 また今まで会話の中で偶然見つかる病気もあります。 そのような疾患の場合は本人が余り気にしていないために受診に至っていないケースで、受診の際についでに聞いてみようのような所から始まるため、いかに会話するチャンスが多いかに依存します。 当院でよくあるケースとしては、高血圧などの生活習慣病の患者さんで「以前大腸ポリープきったことあるんですよ」「数ヶ月前から血便がででるんです」などの話が定期受診の際に出てきて、大腸内視鏡を実施してポリープや癌が見つかるなどの事があります。 どちらも医学的に医師が気に気にするところと実際患者さんが気にするところに違いがあるので起こることです。 リフィル処方箋が当たり前になる事で、医師の専門的な視点の代わりをどこで行うかが課題になりそうです。 薬局で担う、ネット情報に頼る、色々なアプリに頼るなどなどが必要になりそうです。 当院の対応 当院では薬局のと連携の強化を実施したうえでリフィル処方の発行に対応をいたします。 病状が安定していて処方内容が変わらないと判断できる方には60日や90日の長期処方も多くの患者さんで実施しています。 また調整が必要でも中々受診ができない方のオンライン診療も実施しています。 何が一番適しているかを状況にあわせて判断させていただいております。 リフィル処方箋以外の方法も考慮したうえで、もっとも患者さんにとって安全で効率の良い方法を考えていきたいと思います。