当院には慢性膵炎を心配されて来院される方が多くいらっしゃっています。
- 以前からみぞおちが痛くて・・・
- 以前から背中が痛くて・・・
- 下痢が続くので・・・
- 他の病院で慢性膵炎と以前言われたことがあって・・・
など理由は様々です。
実際当院で精査を行うと慢性膵炎である方は殆どいません。
機能性胃腸症や過敏性腸症候群、非びらん性胃食道逆流症など機能的な胃腸の疾患の場合が多く、その治療をすることで改善に向かう方が多くいらっしゃいます。
そもそも慢性膵炎はどれくらいの頻度でおこる病気なのでしょうか?
「厚生労働省難治性疾患克服研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班の全国調査」によりますと、すこし古いデータにはなりますが、2011年1年間に医療機関を受診した慢性膵炎患者さんの数は約67,000人、人口10万人あたりの数は52.4人とされています。
また、1年間に新たに慢性膵炎を発病した患者さんは約18,000人、人口10万人あたり14.0人とされています。
年々、慢性膵炎患者さんの数は増加しているようです。
豊島区で例えると、豊島区全体で1500人前後の方が慢性膵炎で治療をされていて、毎年400人程度増えている計算になります。
また以下の特徴があります。
・性別では男性:女性の比率は4.6:1と男性が女性の4倍以上多い
・年齢では50歳代に発病する患者さんが多い
・慢性膵炎の原因として、飲酒が原因のアルコール性慢性膵炎が全体の約2/3を占める
・慢性膵炎患者さんの喫煙率は、慢性膵炎ではない人の約2倍
つまり飲酒・喫煙のない若年の女性が慢性膵炎であることは、かなり少ないという事になります。
その一方で、機能性胃腸症や過敏性腸症候群、非びらん性胃食道逆流症など機能的な胃腸の疾患はかなり頻度が多いので、むしろそちらの疾患から疑って精査をすることが多いのが実情です。