そもそも慢性膵炎とは? event_note2022.04.06慢性膵炎の定義は下記のようになっています。 慢性膵炎とは,遺伝的や環境要因,その他の危険因子を有し,実質への傷害やストレスに対して持続的な病的反応を生じる個人に起きる,膵臓の病的線維化炎症症候群である。膵臓の内部に不規則な線維化,炎症細胞浸潤,実質の脱落,肉芽組織,膵石の形成,膵管の不規則な拡張などの慢性変化が生じ,進行すると膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う病態である。膵内部の病理組織学的変化は,基本的には膵臓全体に存在するが,病変の程度は不均一で,分布や進行性は様々である。多くは非可逆性である.腹痛や背部痛,進行例では膵内・外分泌機能不全による臨床症候を伴うものが典型的である。 簡単に言うと慢性膵炎とは、「膵臓に持続的に炎症が起こることで、次第に膵臓の細胞が破壊され、機能の低下した線維に置き換わりってしまうことで、膵臓全体が硬くなって萎縮・機能低下をしていく病気」です。 慢性膵炎の原因としては ・アルコール性慢性膵炎 ・非アルコール性慢性膵炎(特発性,遺伝性,家族性など)の二つに大分されます。 慢性膵炎の診断は慢性膵炎臨床診断基準(2019)において、下の様な所見がある場合に慢性膵炎と診断できるとしています。 ①特徴的な画像所見(膵石・膵石灰化・MRIや内視鏡検査、超音波検査での膵臓の特徴的な異常) ②特徴的な組織所見(膵細胞の繊維化など) ③反復する上腹部痛または背部痛 ④血中または尿中膵酵素値の異常(採血や尿検査で膵臓に特徴的な項目の複数回の異常) ⑤膵外分泌障害(検査実施が必要であるが、現在は保険適応外) ⑥1 日 60 g 以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴または膵炎関連遺伝子異常 ⑦急性膵炎の既往診断する為には、少なくとも典型的な画像所見①②が必要です。 症状のみでの診断はしません。 また早期慢性膵炎というものがあり、こちらの方がむしろ大事かもしれません。慢性膵炎に完全に移行する前の状態の事です。慢性膵炎は一般的に不可逆性(元に戻らない)のですが、早期慢性膵炎は適切な管理ができると元に戻る可能性がある状態です。 早期慢性膵炎の診断慢性膵炎の上記③~⑦のうち複数を認め、さらに早期慢性膵炎の特徴的な画像所見が認められる。早期慢性膵炎の特徴的な画像所見は超音波内視鏡やMRIなどで行います。なので早期慢性膵炎においても症状のみで診断は行いません。 慢性膵炎は診断がとても難しい疾患です。もし今の症状は慢性膵炎かな?慢性膵炎と言われていたけど本当かな?などの疑問があればご相談ください。