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胃痛とは、医学的には「心窩部痛」と呼ばれるものであり、広義の意味としては「みぞおちや脇腹あたりの痛み」のことを差します。しかし、胃痛といってもその症状における緊急性はそれぞれ異なるため、下記にその詳細を記します。 「胃の辺りが痛い」「おへその上の辺りが痛い」「みぞおちが痛い」「胸の下の辺りが痛い」「あばらの辺りが痛い」など様々な表現で来院される患者さんが多いです。
下記の症状が伴う胃痛・心窩部痛は、非常に緊急性が高い状態と言えます。すぐに専門医による診察を受けましょう。
下記の症状が伴う胃痛・心窩部痛は、何らかの消化器疾患に罹患している可能性が高く、医療機関の受診が必須である状態です。出来る限り早く医療機関を受診しましょう。
下記のような症状であれば、それほど緊急性が高い訳ではありませんが、症状が継続する場合には医療機関を受診しましょう
胃痛・心窩部痛は生活習慣と密接に関連しているため、原因として「ストレス」や「食生活の乱れ」が挙げられます。 ただし、むやみにストレスのせいにするのも危険です。胃炎や胃潰瘍を引き起こす「ピロリ菌」も、胃痛・心窩部痛を引き起こす代表的な要因と言えるでしょう。 その他にも胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、食道がん、胆石、虫垂炎など様々な病気の可能性がありますので、消化器内科・胃腸科などの専門医の受診をお勧めします。
過度なストレスが体や心にかかることで、胃腸の働きを司る自律神経に乱れが生じます。この影響により、胃痛・心窩部痛が現れることがあります。 ストレス性の胃痛・心窩部痛の場合は、胃粘膜には異常がないため、胃カメラの様な検査でも明らかな器質的な異常は認められません。 胃酸の分泌などとの関係もあるので、制酸剤などの胃薬を使用することがあります。 ストレスの排除が一番ですが、胃酸の量を減らす・胃の動きの活発にするなどの治療で症状が緩和するケースがあります。 漢方治療も良い適応です。
暴飲暴食や、胃に負担の掛かる食べ物ばかりを摂っていると、胃の働きが低下することで様々な消化器症状が起こります。その代表的な症状の一つとして、胃痛・心窩部痛が存在します。 食後の胃の痛み、食前のムカムカなどの症状が出ます。 食生活の乱れをなおしつつ、胃や腸の動き(蠕動運動)を改善するような治療を行うことがあります。
ピロリ菌とは胃に感染する細菌であり、これによって胃炎や胃潰瘍が引き起こされます。現代のように衛生環境が整っている場合にはあまり胃に感染することはありませんが、衛生環境が悪く上下水道が整備されていない時代で育った高齢者の方には、しばしばこのピロリ菌が感染している場合があります。若い方も両親から感染することがあります。 ピロリ菌に感染する時期は幼少期であり、成人以降に感染することは一般的にはありません。 ピロリ菌は慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどのリスクになります。 慢性胃炎により胃酸の分泌が増え、食前のムカムカなどが発生することが有ります。 ピロリ菌感染を胃カメラおよび呼気テストなどで確認できた場合は除菌療法を実施します。 除菌のみで症状が改善する方が一定数いらっしゃいます。
胃痛・心窩部痛を引き起こす原因となりうる疾患は下記のようなものがあります。
胃がんの代表的な症状の一つとして、胃痛があります。胃痛を軽視して放置を続けてしまうと、胃がんの発見が遅れて最悪の場合には死に至る可能性もあります。症状が継続する場合には、必ず胃カメラ検査を受けましょう。 胃がんは特有の症状がないため、疑ったら胃カメラ検査は必須です。 特に根治が期待できる早期胃がんの場合は症状がないことがほとんどです。そのため何らかの胃の症状がある方で、直近2-3年の間に胃カメラを実施していない方は、内視鏡検査をお勧めしております。
胃の粘膜に炎症が起きることで、胃痛や胃もたれが発生します。慢性的な症状である場合には発見が遅れることもあるため注意しましょう。 急性胃炎は鎮痛剤など薬剤性のもの、急性のストレスによるものなどが有りますが、一般的には症状が強いですが治療に反応が良く、制酸剤や胃粘膜保護剤の内服により改善は容易です。 慢性胃炎はピロリ菌感染によって起こる萎縮性胃炎の事がほとんどです。症状は軽い傾向がありますが経過が長い方が多いです。除菌療法によって症状が改善する方がいます。
胃痛・胃の不快感・食欲不振・吐き気・黒い便(タール便)といった症状があらわれます。 症状が全くなく、胃カメラなどの検査でたまたま発見されるものもあります。 鎮痛剤による胃潰瘍の場合は症状が軽いケースがあります。 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因のほとんどはピロリ菌ですので、やはり除菌が基本です。 急性期の潰瘍が大きい時は制酸剤、胃粘膜保護剤による治療を優先することが有ります。
胃酸・胃液が食道に逆流することで、胃痛や吐き気、喉の違和感といった症状が起こります。これも放置を続けると食道がんに繋がることもあるため注意が必要です。 原因はさまざまですが、コーヒーなどのカフェイン、アルコール、炭酸など飲み物によるもの、ストレス、姿勢、食道裂孔ヘルニア、骨粗鬆症薬によるものまでさまざまで、特定の何かということはありません。 治療としては原因の除去を行いつつ、制酸剤や粘膜保護剤を使用します。 中には炎症が軽いが症状の強い方もいらっしゃるため、漢方による治療も検討されます。
器質的な異常(見た目で判断できる形状異常)が無いにも関わらず、胃痛や腹部膨満感といった消化器症状がおります。胃カメラ検査による正確に診断が必要となります。 さまざまな症状が起こりうるのが特徴で、経過の中で症状が変わっていくことも良く経験されます。 ストレスなどが原因になることが多いですが、明らかな原因が特定できないことがほとんどです。 制酸剤、粘膜保護剤に加え、胃の蠕動を強くする薬、漢方薬、抗不安薬、抗うつ薬など様々な処方が試用されます。 外来医師の経験に治療成果が左右されやすい疾患です。
上述のように、胃痛は様々な消化器疾患の症状として表れやすいものです。自分が恐ろしい病気になっていないかどうかを判断するためにも、胃カメラによる検査が必要です。少しでも気になる症状がある方は、お気軽にご相談下さい。
当院は内視鏡検査に注力しているクリニックとして、幅広い消化器症状に対して診察を行うことが可能です。今、自身に起きている胃痛・心窩部痛がどんな原因によるものなのかを正確に把握し、適切な治療を受けるようにしましょう。