便秘専門外来  ~一言に便秘といっても色々あります~

以下のような症状でお困りではないですか?

すぐに受診が必要と考えられる便秘症状

  • 強い腹痛や吐き気、発熱などが伴う便秘
  • 排便の際に血が混ざっている

注意が必要な便秘症状

  • 排便の間隔が不規則に長くなっている
  • 市販の便秘薬や浣腸を使用しても便が出ない
  • 急に便秘が一か月以上続く
  • おならが出ず、腹部の張りが強い
  • 便が細くなってきた

これらの便秘症状は、大きな病気が隠れている可能性があります。便秘はとても身近な症状ですが、「たかが便秘」と甘くみていると、便秘の悪循環に陥り、合併症を引き起こす可能性もあります。便秘でお悩みの方はぜひ医療機関に相談し適切な処置を取りましょう。

便秘とは

日本消化器病学会では、便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。つまり、排便回数の減少という頻度だけでなく、残便感がある、排便をするときに硬くて不快感がある、排便した後もすっきりしないといった場合も、便秘状態に該当します。
そのため毎日排便があるかたも便秘である場合があります。
便秘の方は便秘であることが日常である場合が多いので、ご自身で自覚がないことがあります。

便秘の原因

便秘の原因は主に以下の4つです。

生活習慣の乱れ

運動不足や、水分不足、食物繊維不足など不規則な生活を継続していると体のリズムが乱れて腸の働きが悪くなり便秘を引き起こします。

服用薬の影響

抗うつ剤、カルシウム拮抗薬、抗コリン剤、抗ヒスタミン薬の一部など、薬の副作用に伴い発症する場合もあります。

ストレス

人間関係・仕事・環境の変化などの精神的なストレスや緊張が生じた際に、自律神経が乱れることによって腸管の活動低下し便秘になる場合もあります。

腸の疾患

大腸がん、過敏性腸症候群などの疾患の影響で発症することがあります。

一つ一つの影響は小さくとも、多くの場合はこれらの要因が複雑に絡み合っています。また、便秘による強い“いきみ”などが発端となり、痔などの他の疾患に結びつくこともあります。「ただの便秘」と甘く見ず、専門医による診察を受けることをお勧めします。

便秘の種類

便秘の分類は従来は下の様に分類されていました。

器質性便秘(通過障害)

大腸がんや炎症性疾患などが原因で、腸管が狭くなったり運動障害を起こしたりする病気です。このタイプの便秘では元の病気を治す必要があるため、医療機関を受診しましょう。

機能性便秘

最も多いタイプの便秘です。生活習慣やストレス、加齢により、大腸や直腸、肛門の働きの乱れが主な原因になります。また、機能性便秘の中にも、弛緩性(しかんせい)便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘といった型が存在し、それぞれによって適切な治療法が異なります。

薬剤性便秘

抗うつ薬、抗コリン薬、咳止めなどの薬は大腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制するため便秘になる場合があります。

現在では国際基準に従い、慢性便秘は下の様に分類されています。

分類症状分類分類・診断のための検査方法専門的検査による病態分類原因となる病態・疾患
器質性狭窄性 大腸内視鏡検査、注腸X線検査など 大腸癌・クローン病、虚血性大腸炎など
非狭窄性排便回数減少型腹部X線検査、注腸X線検査など 巨大結腸など
排便困難型排便造影検査など器質性便排出障害直腸瘤、直腸重積、巨大直腸、小腸瘤、S状結腸瘤など
機能性排便回数減少型大腸通過時間検査など大腸通過遅延型特発性
症候性:代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病、便秘型過敏性腸症候群など
薬剤性:向精神薬、抗コリン薬、オピオイド系薬など
大腸通過正常型経口摂取不足(食物繊維摂取不足を含む)
大腸通過時間検査での偽陰性など
排便困難型排便造影検査など硬便による排便困難硬便による排便困難・残便感(便秘型過敏性腸症候群など)
機能性便排出障害骨盤底筋協調運動障害
腹圧(怒責力)低下
直腸感覚低下
直腸収縮力低下
など

機能性便秘について

排便回数減少型

若い女性に多い対応の便秘です。
排便回数が週3回未満・腹部膨満・腹痛・硬便による排便困難などの症状があります。
大腸通過時間をはかる検査などを行うと通過時間のの専門的な検査ができれば、大腸通過正常型・大腸通過時間遅延型を鑑別することが可能です。
しかし一般的な外来診療においては、二つを鑑別する意味があまり大きくない為、排便回数減少型は大腸通過遅延型として扱うことがおおいのが実情です。

排便出障害型(排便困難型)

軟便でも排便困難・過度の怒責・残便感・頻回便・排便時の肛門・会陰部の不快感などが主な症状です。 若年者より高齢者に多い病型です。

便秘と内視鏡検査について

便秘と内視鏡検査について「ただの便秘」だと甘くみていると、大腸がんなどの大きな疾患の発見が遅れる可能性があります。特に、便潜血検査が陽性だった方や、便秘と下痢を繰り返している方、家族に大腸がんを患った方がいる方、40歳以上の方などは、注意が必要です。 大腸内視鏡検査とは、カメラがついた細い管を肛門から入れて大腸の中にポリープ、がん、炎症などの異変がないかを直接観察する検査です。詳細は下記よりご確認下さい。

便秘の治療

生活習慣改善

普段の生活習慣を見直すことで、徐々に腸の働きを正常な状態に戻していきます。
食事については1日3食しっかりと食べ、消化のいいものや食物繊維の多いものを積極的に摂取しましょう。また、適度な運動を心掛けることで、腸内環境を整えていくことも重要です。便意を我慢するのもよくありません。1日1回排便することを心掛けましょう。
運動と適切な食物繊維の摂取、水分補給、排便習慣のすべてが大事な要素です。

薬物療法

便秘の薬には様々な種類があるため、便秘の原因や症状によって使い分ける必要があります。
治療の目標は排便回数が1〜2日に1回、且つ固形便になります。ただ便秘の治療を始めた方、もともと症状の強い方(特に排便困難型)の患者さんは下痢でもいいから毎日の排便に拘ってしまい、薬剤の量が多くなってしまう下剤依存になってしまうことがあります。
逆にもともと症状強くない方(特に排便回数減少型)の患者さんは下剤の量を減らすことを目的としてしまい、「出なかったら飲む」としてしまうため、排便コントロールがうまくいかないケースもあります。
適切な種類と量の薬剤をきちんと目的をもって使うことが非常に重要です。
下剤は、大きく刺激性下剤と非刺激性下剤の2つに分類されます。

非刺激性下剤

大腸の蠕動を刺激せずに排便を促すものです。酸化マグネシウムが代表的です。
便を柔らかくすることで排便をしやすくする作用が中心で、「くせにならない」下剤になります。
近年ではルビプロストン、リナクロチドなど、このタイプの下剤が多く開発されています。

刺激性下剤

いわゆる「くせになりやすい」下剤です。
大腸の蠕動運動に直接働きかけるもので、効きすぎとおなかが痛くなることがあります。
センノシドが代表的ですが、大黄製剤など多くの種類があります。コーラック🄬など市販で販売されているものの多くがこのタイプです。
排便している実感が出やすいので、スッキリする感じのする下剤です。

刺激系と非刺激系、生活習慣改善など色々な物を適切に組み合わせて治療を続けていくことになります。
便秘でお困りの方は、一度当院へ来院いただき、適切な薬を服用することをお勧めします。

便秘でお悩みの方は、ぜひ当院の便秘外来へ

便秘は私たちにとって大変身近な症状ですが、楽観視して放置することは危険です。また、治らないものとして諦めてもいけません。便秘は根治が期待できます。正しい付き合い方がわかれば、便秘の症状はコントロールできるのです。
便秘でお困りの方は、ぜひ一度当院へお越しください。

著者
東長崎駅前内科クリニック 院長 吉良文孝
資格
日本内科学会認定 認定内科医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
経歴
平成15年 東京慈恵会医科大学 卒業
平成15年 東京警察病院
平成23年 JCHO東京新宿メディカルセンター
平成29年 株式会社サイキンソーCMEO
平成30年 東長崎駅前内科クリニック開院
 
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