血便(赤い便)、下血(黒い便)とストレスについて

【大腸カメラで確認する血便の原因】

血便とストレスが直接関連しているわけではないですが、便秘や下痢、潰瘍性大腸炎のような疾患の方は、ストレスで症状が悪化する場合があります。また、ストレス由来の便秘が切痔に繋がることも。

【血便の判断基準】

一時的な血便は深刻ではない可能性が高いですが、継続的な出血があれば消化器専門の病院・クリニックへ受診が必要。自己判断せず、専門家の診断を受けることを推奨します。

【大腸カメラでの血便診断】

診断時に、血便の伴う症状やその発生期間などを確認し、原因となる疾患を特定します。
関連する症状には、腹痛、下痢、熱、便秘、体重減、お腹の張り、粘液便などがあります。

【緊急度の異なる血便】

受診の緊急度を示す指標として、腹痛の有無が考えられます。
痛み伴う血便の場合、感染性腸炎や大腸憩室炎、潰瘍性大腸炎が疑われます。
痛みを感じない場合、大腸がんや憩室出血が考えられ、放置は貧血のリスクが。無痛の血便には、早急な受診をおすすめします。

【年齢と血便のリスク】

①大人

大人における血便の原因としては以下が考えられます。

● 潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患
● 感染性腸炎
● 虚血性腸炎
● 大腸がん
● 大腸憩出血

②子ども

子どもの血便では、大腸がんや大腸憩室症のリスクは低め。
特筆すべきは腸重積で、この場合総合病院の受診が推奨されます。それ以外の疾患は大人と同様に考えられます。

【大腸カメラで見る血便・ストレス・年齢の関係】

大腸カメラの検査で明らかになることが多い血便の原因と、ストレスや年齢の結びつきは少ないとされています。
年齢によって血便の背後にある疾患が変わることは稀です。

【性別ごとの血便の原因の違い】

血便は性別によって異なる原因が考えられます。
女性は骨盤の形状や筋肉の強度などの要因で便秘傾向にあり、一方、男性は過敏性腸症候群や大腸憩室症がよく見られます。
特に男性は、生活習慣病や肥満が引き起こす大腸ポリープや大腸がんのリスクも高まることが指摘されています。

【ストレスが引き起こす血便と痔のつながり】

ストレスは便秘の悪化を招くことがあり、それが痔の原因となることが考えられます。

【ストレス関連の血便へのアプローチ】

ストレス由来の血便が疑われる場合は、消化器内科・胃腸科・肛門科での内視鏡検査が推奨されます。

【血便への対応:ストレス管理と食生活】

食習慣の見直しやストレスのコントロールで便秘や下痢の症状は改善されることが多いです。
しかし、効果が見られない場合、市販薬に頼るより消化器内科の受診が望ましいです。

【血便の識別:色と特徴】

血便には色による分類があり、それぞれの色が示唆する出血部位が異なります。

● 鮮血便:大腸の下部からの出血
● 暗赤色便:大腸の上部や小腸からの出血
● 黒色便:胃や十二指腸などの上部消化管からの出血 胃酸の作用や時間の経過により、血便は黒くなることがあります。
● 粘液便:粘性が高い便。血が混ざることで、深刻な疾患のサインとなることも。特に持続する場合は、専門医の診察が推奨されます。

【血便と下血の違い】

血便と下血は、出血源の違いにより、医学的には別物とみなされます。

血便:赤い便で、主に大腸からの出血を示します。
下血:黒ずんだ便で、タール便とも称されます。多くは柔らかいまたは液状で、胃や十二指腸、上部小腸からの出血を示します。

下血も血便と同じく、ストレスとの直接的な関連は見られません。
粘膜が炎症によって損傷した胃潰瘍や十二指腸潰瘍が、ストレスが原因となることもありますが、多くはピロリ菌感染が原因です。


【血便・下血の検査方法】

血便・下血が疑われる際の検査方法には、主に4つの方法が存在します。

便潜血検査

健康診断などで利用される検査方法です。目視での確認が難しい微量の血を検出することができます。しかし、日常的な臨床場面では頻繁に用いられるわけではありません。

胃カメラ検査

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、ファイバースコープと呼ばれる器具を用いて、咽頭から十二指腸までの領域の異常(ポリープ、がん、炎症など)を確認するための検査です。
診断だけでなく、治療方針の決定にも役立ちます。通常の白色光に加え、特定の波長の光を用いて、より詳細な観察を行います。
この特殊光を利用することで、通常の観察では見逃しがちな病変も確認しやすくなります。

大腸カメラ検査

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、ファイバースコープを肛門から挿入し、大腸全体を観察します。
大腸内の異常(ポリープ、がん、炎症など)の確認と、適切な治療方法の選定のために行われます。
通常光の他に、特殊光を用いた観察や、最大135倍までの拡大観察も可能です。
これにより、通常の観察では確認が難しい病変の判定も容易になります。

カプセル内視鏡

特に小腸からの出血が疑われる場合に選択される検査方法です。
カプセル型のカメラを摂取して、小腸内を撮影します。
胃カメラや大腸カメラだけでは診断が難しい消化管出血の際に実施されます。撮影された画像から病変を特定します。
東長崎本院ではこの検査が行えます。

【当院について】

当院では、内視鏡専門医による様々な内視鏡検査や、消化器疾患に特化した専門医による診察・治療を提供しております。
生活習慣病や一般的な内科疾患も幅広く取り扱っています。
また、腸内洗浄や腸内フローラ検査などの独自の診療も提供しております。
東長崎周辺をはじめ、池袋など豊島区全域、練馬区など様々な地域からの患者様の健康をサポートするため、日々努力しています。
最新の医療設備を取り入れた診療を心がけており、皆様のご来院を心よりお待ちしております。

著者
東長崎駅前内科クリニック 院長 吉良文孝
資格
日本内科学会認定 認定内科医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
経歴
平成15年 東京慈恵会医科大学 卒業
平成15年 東京警察病院
平成23年 JCHO東京新宿メディカルセンター
平成29年 株式会社サイキンソーCMEO
平成30年 東長崎駅前内科クリニック開院
 
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