大腸内視鏡検査を受けた方がいい人の特徴とは?年齢・症状別の適切な頻度などについても解説

大腸内視鏡検査は大腸がんやポリープなど、大腸内の異常を発見する検査ですが、どのような人が検査を受けた方がいいかご存じですか?

大腸がんの罹患率は年々増加しているため、40歳以上であれば性別にかかわらず受けた方がよいといわれています。しかし痛みや苦しさからつらいというイメージを持っている方も多く、検査を受けた方がよいと思っていても、なかなか受けるに至らないこともあるのではないでしょうか。

この記事では、大腸内視鏡検査を受けた方がいい人の特徴や適切な頻度、楽に受ける方法などについて詳しく紹介します。大腸内視鏡検査を検討している方、できるだけ苦痛を感じずに検査を受けたい方は、ぜひご覧ください。

大腸内視鏡検査を受けた方がいい人の特徴

大腸内視鏡検査は痛い、苦しいなどマイナスなイメージが強いため、できれば受けたくないという方も多い検査です。しかし、便通に異常がある場合や大腸がんのリスクが高い場合などは、特に受けておくべきだといわれています。

ここでは、大腸内視鏡検査を受けた方がいい人の特徴について詳しく紹介します。

便通に異常がある人

血便や下血、下痢や便秘を繰り返している、残便感があるなど便通に異常がある場合は、早急に大腸内視鏡検査を受けましょう。

正常な便は、バナナ状もしくは半練り状でにおいも少なく排便もスムーズですが、大腸に何らかの異常があると便の状態が悪くなるだけでなく、お腹の張りや腹痛、貧血などの症状がみられる可能性があります。

それらの症状が大腸がんによるものであった場合、すでに進行しているケースも多いため、症状の有無にかかわらず、定期的に大腸内視鏡検査を受けておくことが大切です。

大腸がんに罹患した家族がいる人

両親や祖父母、おじ、おば、いとこなど親族に大腸がんに罹患した方がいる場合は、大腸がんの発症率が高くなるため注意が必要です。

近年、さまざまながんに遺伝が影響していることがわかってきていますが、大腸がんも例外ではありません。

大腸がん研究会の『遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2020年版』によると、遺伝性大腸がんが占める割合は全大腸がんの約5%だそうです。5%と聞くと意外と少ないように感じますが、これは遺伝子との関係がはっきりしている場合のみの割合であり、遺伝子との関連が疑われる場合も含めると、大腸がん全体の約30%が遺伝的な要因によって発症していると考えられます。

そのため、家族や親族が大腸がんに罹患している場合は、定期的に大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

大腸にポリープが見つかったことがある人

以前、大腸ポリープが見つかったことがある場合は、定期的に大腸内視鏡検査を受けた方がよいでしょう。大腸ポリープとは、大腸の粘膜上にできるイボのような球状のコブのことです。

大腸がんになりやすい『腫瘍性ポリープ』となりにくい『非腫瘍性ポリープ』の2種類があり、腫瘍性ポリープには腺腫というがん化する細胞が含まれています。

腫瘍性ポリープは再発しやすく、放置していると大腸がんに変化する可能性があるため、過去に大腸ポリープが見つかった経験のある方は定期検査を受けることが大切です。

40歳以上の人

大腸がんは年齢を重ねるごとにリスクが上昇していきます。40歳を超えると性別にかかわらず罹患率が高くなり、50歳を超えると急激に増加するため、40歳以降は定期的に大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

また、女性のがんによる死亡数の第一位は大腸がんです。大腸がんは初期の自覚症状がほとんどなく、症状が出たときにはすでに進行していることが多いですが、早期発見できれば完治も可能となるため、40歳以上の女性で便秘に悩んでいる方や便潜血検査で陽性が出た方は、早めに検査を受けておきましょう。

食生活が乱れている人

大腸がんは食生活の乱れも大きなリスクとなります。

例えば、牛肉や豚肉などの赤身肉、ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品の摂取量が多く、野菜などの食物繊維をあまり摂らない方は注意が必要です。

また、過度のアルコール摂取も大腸がんのリスクが高まるといわれているため、日常的にお酒を飲んでいる方も、定期的に大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

消化管に慢性的な炎症がある人

『潰瘍性大腸炎』や『クローン病』など、大腸や小腸などの消化管に慢性的な炎症がある方は、放置すると大腸がんのリスクが高まるため、定期的に大腸内視鏡検査を受けて必要に応じて適切な治療を受けましょう。

下痢や血便、腹痛、発熱、下血などの症状がある場合はもちろん、貧血や体重減少、倦怠感などの全身症状がある場合も、早めに受診するようにしてください。

大腸内視鏡検査を受けた方がいい理由

大腸内視鏡検査の目的はさまざまですが、がんの早期発見と予防のために定期的に受けた方がよいといわれています。なぜなら、大腸がんは身体に症状が現れにくく、気づいたときにはすでに手遅れになってしまうこともめずらしくないからです。また、がんを早期に発見することで、開腹手術ではなく内視鏡で治療ができるため、身体と心への負担も少なくて済みます。

大腸内視鏡検査を行った結果、何の異常も見つからなかったとしても、自身が健康だと認識でき、大きな安心が得られることも、検査を受けるべき理由のひとつだといえるでしょう。

大腸内視鏡検査を受ける年齢別の適切な頻度

上述の通り、大腸がんは40代以降になると罹患率が上昇するため、定期的に検査を受けるのがおすすめですが、どのくらいの頻度で受けるべきなのかわからないという方もいるのではないでしょうか。ここでは、大腸内視鏡検査を受ける年齢別の適切な頻度について紹介します。

40代

40代が大腸内視鏡検査を受ける適切な頻度は、3年に1回程度です。ただし、40代になって一度も大腸内視鏡検査を受けていない場合は早めに検査を受け、異常がなければ3〜5年に1回程度、大腸ポリープなどが見つかった場合は1〜2年に1回程度は検査を受けるようにしましょう。

50代

大腸がんの罹患率が急激に上がる50代も、基本的には40代と同じく3年に1回程度の頻度で大腸内視鏡検査を受けましょう。過去にポリープを切除した経験のある方は、少なくとも1年に1回は検査を受けることをおすすめします。

60代

『大腸がんスクリーニングにおける単回大腸内視鏡検査の費用対効果』という調査では、『人生においてたった一度だけ大腸内視鏡検査を受けるなら、60代がもっとも費用対効果が高い』という結果が出ています。

しかし、適切な頻度としては40代・50代と同じく基本的には3年に1回程度、過去にポリープが見つかった場合は1年に1回程度は検査を受けることをおすすめします。

大腸内視鏡検査を受ける症状別の適切な頻度

自身の年齢に応じて大腸内視鏡検査を受けることも大切ですが、年齢にかかわらず検査を受けた方がよい場合もあります。ここでは、大腸内視鏡検査を受ける症状別の適切な頻度について紹介します。

大腸ポリープを除去した経験のある人

過去に受けた大腸内視鏡検査でポリープが見つかり、除去した経験のある方は1〜3年に1回程度の頻度で検査を受けましょう。ポリープのサイズが小さく1〜2つ程度と数も少ない場合は、3〜5年に1回でもよいとされているため、医師と相談して適切な頻度で検査を受けてください。

ポリープが複数あり、一度に取りきれなかった場合は、医師の判断により3〜6ヶ月ほど間隔をあけて再度大腸内視鏡検査を行い、すべてのポリープを切除しますが、その後も1年に1回の頻度で検査を受けることをおすすめします。

大腸がんの治療をした人

大腸がんの治療をした人は、1年に1回程度の頻度で大腸内視鏡検査を受けることが大切です。

なぜなら、大腸がんは複数の場所に別のがんができる『重複がん』であることが多く、異なる時期にまったく別の場所に新たながんができることがあるからです。

一度でも大腸がんの治療を受けたことがある場合は、より注意深く経過をみる必要があるため、少なくとも1年に1回は検査を受けるようにしましょう。

血便が出る人

排便時の出血は大腸がんだけの症状ではないため、痔などの他の病気だと思い込んでしまうケースも少なくありませんが、原因がはっきりわかっていない場合はできるだけ早く大腸内視鏡検査を受けてください。

検査の結果、大腸に異常が見つからなければその後は2〜3年に1回程度の頻度で検査を受け、2回続けて異常が見つからなければ5年に1回にしてもよいか医師に相談してみましょう。

なお、大腸がんの出血は便の周りに少量の血が持続的に付着するのが特徴です。結腸がんの場合は便と血が混ざって黒色になることもあるため、異変を感じたらすぐに医療機関を受診することをおすすめします。

慢性下痢の人

慢性下痢(4週間以上下痢が続いている状態)は、身体からの危険を知らせるサインです。下痢が長期間続いている場合は、『炎症性腸疾患』や『過敏性腸症候群』などの何らかの病気が隠れている恐れもあるため、1年以上大腸内視鏡検査を受けていない場合はすぐに検査を受けましょう。

その後は必要となる検査や治療を行い、医師の指示に従って適切な頻度で大腸内視鏡検査を受けるようにしてください。

前回の大腸内視鏡検査で異常なしと言われた人

大腸内視鏡検査を受けて異常がなく、大腸がんのリスクが低いと考えられる場合は、5年に1回の頻度で検査を受けるのがおすすめです。

特に異常が見つからないと、「検査をして何も異常がなかったのだから大丈夫」とそれっきり検査を受けない方もいますが、定期的に観察することが重要であるため、必ず推奨される頻度で大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

大腸内視鏡検査が避けられてしまう理由

大腸内視鏡検査は「痛い」「つらい」「苦しい」などのイメージが強く、なかなか受けようと思えない方も多いかもしれません。これらの苦痛は、肛門からスコープを挿入する際や腸の曲がっているところをスコープが通るときの刺激によるものである可能性が高いです。

内臓の手術歴がある方や腸の炎症がある方、婦人科系の疾患によって腸の癒着が起こっている方は苦痛を感じやすく、医師の技術力や鎮静剤の使い方、量によっても痛みの強さが左右されます。

また、検査前の下剤の服用やガスで腸内を広げて観察する際のお腹の張り、検査中の恥ずかしさもつらいと感じる理由のひとつにあげられるため、これらの苦痛に対処できる医療機関を選べば、痛みやつらさの少ない検査が受けられる可能性が高まります。

楽に大腸内視鏡検査を受ける方法

楽な状態で大腸内視鏡検査を受けるには、身体や心の負担を軽減してくれる医療機関を選ぶことが大切ですが、具体的にはどのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか。ここでは、楽に大腸内視鏡検査を受ける方法を紹介します。

内視鏡専門医が在籍するクリニックで検査を受ける

『内視鏡専門医』とは、内視鏡に関する高度な技術と知識、豊富な経験を有する医師のことです。内視鏡専門医になるためには、日本消化器内視鏡学会に5年以上所属し、指導施設で5年以上の研修を受け、学会セミナーなどに出席し、講演を行ったり論文を書いたりなどして受験資格を得たうえで、専門医の試験に合格する必要があります。

内視鏡専門医であるということは、一定以上の技術をもっているといえるため、苦痛が少なく安全性の高い大腸内視鏡検査が受けられる可能性が高いでしょう。

鎮静剤を使用する

楽に内視鏡検査を受けるには、鎮静剤を使用するのもひとつの方法です。近年、大腸内視鏡検査の苦痛を軽減するために、鎮静剤を使用する医療機関が増えています。鎮静剤にはさまざまな種類があり、患者さんの年齢や性別、体格などによって適切な種類や量を使用しなければいけません。そのため、できるだけ鎮静剤の扱いに慣れた経験豊富な内視鏡専門医の在籍する医療機関を受診するとよいでしょう。

できるだけリラックスした状態で検査を受ける

どんなに技術力が高く知識が豊富な医師が検査を担当しても、患者さん自身がリラックスした状態でないと、筋肉が硬くなってスコープが体内を通過するときに痛みが生じやすくなり、楽に検査を受けることが難しくなってしまいます。大腸内視鏡検査を受ける際は、深呼吸をしたり好きな音楽を聴くなどして自分がリラックスした状態で受けられるよう心がけましょう。検査前に軽いストレッチを行って身体の緊張をほぐしておくのもおすすめです。

まとめ

大腸内視鏡検査を受けた方がいいのは、便通に異常がある方や大腸がんに罹患した家族がいる方、大腸ポリープが見つかったことのある方、40歳以上の方、食生活が乱れている方、消化管に慢性的な炎症がある方などです。

スコープが肛門や腸を通過する際や患者さんの体内の状態、医師の技術力の低さなどによって痛みや苦しさを感じることも多く、敬遠してしまいがちですが、今回紹介した適切な頻度を参考に定期的に検査を受けるようにしましょう。

東長崎駅前内科クリニックでは、最小限の麻酔から全身麻酔にも対応し、苦痛の少ない方法で短時間のうちに終わる大腸内視鏡検査を行っております。

検査は日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医・日本消化器病学会消化器病専門医など多数の資格を有する医師が担当いたしますので、大腸内視鏡検査を検討されている患者様は、ぜひ一度東長崎駅前内科クリニックまでご相談ください。

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