胃カメラで痛くないのは口と鼻どっち?それぞれのメリットデメリットや痛みの軽減方法も紹介

「胃カメラ検査を受けたいけれど、痛くない検査方法はないの?」「口と鼻のどっちなら痛くない?」など、胃カメラ検査の痛みや苦痛に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
胃カメラ検査というと、口から管のようなカメラを入れるため、苦しいというイメージが強いですが、近年では鼻から挿入する検査方法や鎮静剤や静脈麻酔の使用によって、かなり楽に検査が受けられるようになっています。
この記事では、胃カメラ検査の選択肢やそれぞれのメリットデメリット、痛みや苦しさを軽減する方法などについて詳しく解説します。
胃カメラ検査を検討している方や、できるだけ楽に検査を受けたい方は、ぜひご覧ください。

胃カメラで痛くないのは口と鼻どっち?

一般的に、胃カメラで痛くないのは鼻から挿入する方法だといわれています。
検査では電子内視鏡という先端にカメラがついた細長いスコープを挿入しますが、従来の口から挿入する方法では、カメラがのどを通過するときに『オエッ』とえずいてしまう嘔吐反射を誘発することもあります。
その点、鼻から挿入する方法であれば、カメラが鼻から鼻腔を通っていくため、嘔吐反射による息苦しさを軽減することが可能です。
ただし、人によっては鼻腔が狭いことでカメラが通過しにくく、痛みや出血が生じることがあります。
特にもともとひどい鼻炎のある方や鼻の粘膜が弱い方、顔が小さい方、女性の方は口から挿入する方法が適している可能性もあるため、医師とよく相談したうえで自分に合った検査方法を選択することが大切です。

胃カメラ検査の選択肢

胃カメラ検査の方法は口からと鼻からの2つのうちどちらかになりますが、鎮静剤・麻酔薬を使用する場合と使用しない場合があるため、合計4通りの中から患者さんの希望や嘔吐反射の強さなどによって選択します。
ここでは、胃カメラ検査の4通りの選択肢について詳しく解説します。

経口内視鏡検査+鎮静・麻酔あり

一般的に、経口内視鏡検査は嘔吐反射が起こりやすいといわれているため、嘔吐反射の強い方や緊張しやすい方は、鎮静・麻酔を使用して口から内視鏡を挿入する方法で検査を行うことがあります。
この方法では、鎮静・麻酔によって半分眠ったような状態で検査を受けることが可能です。
嘔吐反射などの身体的なストレスや、検査中にスコープが体内を通っていくときの痛みや苦しさを感じることなく検査を終えられます。
また、鎮静剤は患者さんの体格や年齢、嘔吐反射の強さなどを考慮しながら適量を使用します。
そもそも鎮静剤は興奮を鎮めたり眠くなったりする薬であり、麻酔薬とは異なるものです。適量を使用することで、検査後のふらつきや覚醒不良、転倒、呼吸抑制などの危険もなく安全に検査を受けられます。

当院では鎮静剤のみの方法(弱い・浅い)と鎮静剤と麻酔の併用(強い・深い)の2通りの方法があります。
いずれの方法もこちらが勝手に選ぶのではなく、ご本人と相談して決めます。
弱い方法は寝ることはありませんが、間隔が鈍くなり反射が抑えられます。
強い方法は寝てしまってもおかしくない量の薬になりますが、一部寝ない方もいます。その際も反射は十分に抑えることができます。
麻酔薬は使用方法によっては命に係わるので、当院では必ず寝ることを優先するのではなく、安全に検査が行えることを最優先としております。

経口内視鏡検査+鎮静剤なし

嘔吐反射の弱い方や緊張しにくい方は、鎮静剤なしで口から挿入する方法で検査を受けるのもよいでしょう。
『経口内視鏡検査』では、口にマウスピースをくわえて口からスコープを挿入していきます。鎮静剤を使用しない場合でも、スコープを挿入する際の違和感を少なくするために、のどに局所麻酔をしてから検査を行うのが一般的です。
初めて胃カメラ検査を受ける場合、のどに局所麻酔をするのであれば鎮静剤を使用する必要はないと思っていても、いざ検査を受けてみると予想より痛みや苦しさを感じるかもしれません。
クリニックによっては、自治体(豊島区)の健診の胃カメラ検査では鎮静剤を使用できない場合もあるため、検査の途中で鎮静剤を使用したいとなったときに切り替えられるかどうか、予約をする前に確認しておくことをおすすめします。

当院では口からの内視鏡でも細い内視鏡スコープを使用する為、通常の内視鏡より刺激が弱いのが特徴です。
局所麻酔のみで検査が実施できる方も大勢おられます。
また豊島区の胃がん検診では鎮静剤(弱い麻酔)の使用は可能です。

経鼻内視鏡検査+鎮静剤あり

鎮静剤なしで口からの検査を行ってもつらかった方や、鼻からの検査でも痛みや苦痛が強かった方は、鼻からの検査で鎮静剤を使用するのもひとつの方法です。
現在行われている方法の中ではもっとも楽に検査が受けられる方法であるといえますが、鼻から検査を行うメリットが少なくなってしまうため、当院では鎮静剤のみの使用にとどめています。静脈麻酔を使用した深い麻酔を使用していません。
一般的なクリニックでも鼻からの胃カメラの場合は全身麻酔を使用していないことが多いようです。
しかし、過去に胃カメラ検査でつらい思いをされたなど、トラウマを抱えている場合は、クリニックによっては希望すれば、鼻からの検査であっても麻酔を使用できる可能性があります。

経鼻内視鏡検査+鎮静剤なし

当院で最も多くの方が選択される検査方法です。
鼻からの検査では、スコープが鼻から鼻腔に挿入されます。舌を刺激することがなく嘔吐反射が起こりにくいため、鎮静剤なしでもスムーズに検査が行えるのが特徴です。
口から挿入したときの息苦しさは避けたいけれど、鎮静剤の使用には抵抗がある方や胃カメラ検査を初めて受ける方、鎮静剤を使用したあとの行動制限がわずらわしい方などにおすすめの方法だといえます。
授乳中の女性の方へは麻酔は使用できないため、この方法を選択します。

当院で実施される方は翌年以降も同様の方法を選ばれる方が多いです。

経口内視鏡検査のメリットデメリット

口からスコープを挿入する『経口内視鏡検査』は、痛みや苦痛を感じる方も多いことから、苦手な方も多い検査方法です。しかしメリットも多いため、患者さんの症状や検査の目的によっては、鼻からではなく口からの検査が勧められる場合もあります。ここでは、経口内視鏡検査のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

経口内視鏡検査のメリット

以下は、経口内視鏡のメリットです。

  • 鮮明な画像で観察できる
  • 比較的短時間で検査ができる
  • 鎮静剤の使用で痛みや苦痛を和らげられる

経口内視鏡のスコープは、直径がある程度太い分だけ色々な機能が備わっています。付属のライトが明るいため、胃の中の様子を鮮明に観察できるだけでなく、カメラ自体の性能や解像度の高さから、より診断の精度を高めることも可能です。また、高い機能が備わっていることで比較的短時間で検査が終えられるのも、経口内視鏡検査のメリットのひとつだといえます。

胃がんなどのリスクが高く、医師から経口内視鏡検査を勧められた場合でも、鎮静剤を使用することで痛みや苦痛を軽減しながら楽に検査が受けられます。

経口内視鏡検査のデメリット

以下は、経口内視鏡検査のデメリットです。

  • 嘔吐反射による不快感を覚える可能性がある
  • 胃内の状態によっては検査時間が長引く可能性がある
  • 鎮静剤を使用すると検査後に行動が制限される

経口内視鏡検査のもっとも大きなデメリットは、鎮静剤を使用しないと嘔吐反射が起こりやすく、痛みや苦痛などの不快感が生じやすい点です。胃内の様子を詳細に観察できることから、検査時間が長引く可能性もあり、それに伴って痛みや苦痛を感じる時間が長引く可能性もあるでしょう。痛みなどを軽減するために鎮静剤を使用した場合は、検査後に院内で安静にする必要があるだけでなく、車や自転車を運転できないなど行動を制限されることを理解しておきましょう。

経鼻内視鏡検査のメリットデメリット

鼻からスコープを挿入する『経鼻内視鏡検査』は、鼻からスコープを挿入するため、経口内視鏡と比べて細いスコープを使用するのが特徴です。比較的楽に検査を行える方法として知られていますが、誰しもが楽に検査を受けられるわけではないため、メリットだけでなくデメリットも知っておく必要があります。ここでは、経鼻内視鏡検査のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

経鼻内視鏡検査のメリット

以下は、経鼻内視鏡検査のメリットです。

  • 検査による不快感が少ない
  • 検査中に医師とコミュニケーションが取れる
  • 検査後の行動制限がない

経鼻内視鏡検査のメリットといえば、嘔吐反射が起こりにくく、痛みや苦痛が少ない点です。挿入するスコープが細く、のどを刺激することもないため、患者さんの負担が少なくなり、敬遠されがちな胃カメラ検査も受けやすくなります。また、口が塞がっていないことから、検査中に会話ができるのも経鼻内視鏡検査のメリットです。気になることや医師に伝えたいことがあれば、検査を受けながら医師と会話ができます。検査後も車や自転車の運転が可能となっているため、仕事などで忙しい方でも検査を受けやすくなります。

経鼻内視鏡検査のデメリット

以下は、経鼻内視鏡検査のデメリットです。

  • 人によっては行えない場合がある
  • 検査時間が長引いたり診断が難しくなったりする可能性もある
  • 鼻の痛みや出血が生じる可能性がある

経鼻内視鏡は鼻からスコープを挿入するため、鼻腔が極端に狭い方や鼻に疾患がある方など、人によっては行えない場合もあります。また、経口内視鏡検査と比べて細いスコープを使用することで画質が若干悪くなるため、短時間で精度の高い検査が行いにくくなる点にも注意が必要です。検査時間が少し長くなったり診断が難しくなるケースもあるでしょう。検査中や検査後に鼻の痛みや出血などがみられる可能性があるほか、不適切な消毒や処置によって感染症にかかるリスクが高まる場合もあります。

胃カメラ検査で鎮静剤を用いるメリットデメリット

上述の通り、胃カメラ検査で使用する鎮静剤は、興奮を鎮めたり眠くなったりするものです。手術などの全身麻酔で使用する麻酔とは異なりますが、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。ここでは、胃カメラ検査で用いる鎮静剤の種類とメリットデメリットについて解説します。

胃カメラ検査で用いる鎮静剤の種類

鎮静剤の効き方は人によって異なるため、一人ひとりに適した種類や量を選び、静脈に点滴もしくは注射で投与する必要があります。例えば、軽度の鎮静剤を使用する場合は『セルシン3〜5mg』や『オピスタン35mg』、『ロヒプノール0.2〜0.4mg』などを使用します。これらを使用すれば、検査による不快感を軽減しつつ、意識を正常に保ちながら検査を行うことが可能です。意識ははっきりと保てなくなりますが、効果が十分でないと判断した場合には、セルシン5〜10mg』や『ロヒプノール0.6〜1.0mg』を使用することもあるでしょう。このほかには、『ミダゾラム』という保険適用外の鎮静剤が用意されている場合もあります。

胃カメラ検査で鎮静剤を用いるメリットデメリット

胃カメラ検査で鎮静剤を用いると、楽に検査が受けられるだけでなく、嘔吐反射が起きにくいというメリットがあります。しかし、鎮静剤を投与したり検査後に休んだりする時間を確保する必要があります。鎮静剤を使用しない場合と比べて院内にとどまる時間が長くなる点に注意しましょう。また、人によっては血圧が低下したり脈が遅くなったり、呼吸が弱くなったりする可能性もあるため、鎮静剤を用いた胃カメラ検査は信頼できる医療機関で受けることが大切です。

経口・経鼻内視鏡のメリットデメリットの比較表

 メリットデメリット
経口内視鏡
  • 拡大で観察できる機器が有る
  • 比較的短時間で検査ができる
  • 鎮静剤の使用で痛みや苦痛を和らげられる
  • 嘔吐反射による不快感を覚える可能性がある
  • 胃内の状態によっては検査時間が長引く可能性がある
  • 鎮静剤を使用すると検査後に行動が制限される
経鼻内視鏡
  • 検査による不快感が少ない
  • 検査中に医師とコミュニケーションが取れる
  • 検査後の行動制限がない
  • 人によっては行えない場合がある
  • 検査時間が長引いたり診断が難しくなったりする可能性もある
  • 鼻の痛みや出血が生じる可能性がある

胃カメラ検査の痛みや苦しさを軽減する方法

胃カメラ検査が胃の中の異常を発見するために重要であることは理解していても、どうしても痛みや苦しさがあることで躊躇してしまうかもしれません。ここでは、胃カメラ検査の不快感を軽減する方法を5つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

左側臥位(がい)の姿勢を取る

胃カメラ検査を受けるときは、『左側臥位』の姿勢をとることが大切です。左側臥位とは、体の左側を下にして横向きに寝た姿勢のことです。体が上を向いてしまうと、スコープを挿入した際に角度がついてしまい、痛みが出やすく唾液が出しにくく苦しくなってしまう可能性があるため、できるだけ体を地面と平行に、むしろ若干下に向くくらいの体勢をとることをおすすめします。

あごを少し突き出す

口から胃カメラ検査を受けるときは、あごを少し突き出す『スニッフィングポジション』の姿勢を取り、のどが狭くならないようにしておくと、スコープがのどに当たりにくく、楽に検査が受けられます。また、スコープが入るときはのどをできるだけ動かさないことも大切です。飲み込むときの動作はのどが大きく動くため、医師がのどにスコープを当てないように操作していても、どうしてもぶつかってしまいます。

検査中はのどの力を抜き、つばは外に垂らすようにして医師に「飲み込んでください」といわれたときにだけ、飲む動作を行うようにしましょう。

リラックスする

胃カメラ検査中は、リラックスすることが非常に重要です。「オエッとなるかもしれない」「のどが痛くなってしまう」など、のどのことばかり気にしていると、のどがしまって違和感が強くなり、余計に痛みを感じやすくなってしまうため、深呼吸したり別のことを考えたりして、体の力を抜くように心がけましょう。

目を開いておく

胃カメラ検査中はしんどくて目を閉じてしまいがちですが、目を閉じているとのどに意識が集中して嘔吐反射が出やすくなってしまうため、目を開いて遠くを見つめるようにすると、比較的楽に検査が受けられます。また、目を開けて視界を遮断しないことで、パニックが起こりにくくなります。余裕があればモニター画面をぼんやり見るようにするのもよいでしょう。

無理せず鎮静剤を使用する

胃カメラ検査の痛みや苦しさを軽減するには、鎮静剤を使用して検査を受けることが大切です。一度胃カメラで苦しい思いをしてしまうと、次回受けようと思えなくなってしまうだけでなく、検査がきちんと行えなくなってしまう可能性もあるため、無理せず鎮静剤を使用して検査を受けるようにしましょう。鎮静剤に関して不安がある場合は、医師に相談して不安や疑問を解消してから検査を受けるか、経鼻内視鏡で検査を行うことをおすすめします。

胃カメラ検査はクリニックの選び方も重要

胃カメラ検査は、医師の技術力が高ければ痛みや苦しさを完全になくすことができるわけではありませんが、できるだけ楽に受けるには以下のようなクリニックを選ぶことが重要です。

  • 鎮静剤の使用が選択できる
  • 胃カメラ検査の実績が多い
  • 最新の設備を整えている
  • 内視鏡専門医の資格を有する医師が検査を担当してくれる
  • 口コミがよい

上述の通り、胃カメラ検査は鎮静剤を使用すると楽に受けられるため、鎮静剤の使用が選択できるかどうか事前に確認しておきましょう。また、胃カメラ検査の実績が多く、最新の設備を整えていること、内視鏡専門医が検査を行っていることも大切です。これらの情報はホームページ内で確認できることが多いため、口コミも含めて必ずチェックしてみてください。

まとめ

胃カメラの検査方法には口からと鼻からの2種類があり、それぞれに鎮静剤ありとなしの2種類があります。一般的に痛みが少ないといわれているのは鼻からの方法ですが、ほとんどのケースで鎮静剤を使用せずに検査を行うため、人によっては口からの方法で鎮静剤を使用した方が楽に受けられます。つまり、どの方法が絶対に楽だというわけではなく、適する方法は人それぞれ異なるため、自分に合った方法を選択しましょう。

東長崎駅前内科クリニックでは、内視鏡専門医・消化器病専門医の資格を有する院長が、患者様の負担を軽減した痛みの少ない胃カメラ検査を行っております。検査は経口もしくは経鼻から、麻酔の使用についても患者様一人ひとりに合わせて選択できるため、胃カメラ検査の痛みが不安な方は、ぜひ一度東長崎駅前内科クリニックまでご相談ください。

TOPへ