大腸内視鏡検査の下剤がつらいといわれる理由とは?種類や飲む量・つらさを軽減する方法を紹介

大腸内視鏡検査では下剤を服用して大腸内をきれいにしてから検査を行いますが、この下剤の服用がつらいという方も多いのではないでしょうか。

下剤は大腸内視鏡検査で正確な診断を行うためにどのクリニックでも服用を求められるため、一度つらい思いをしてしまうと、もう検査を受けたくないと思われるかもしれません。

しかし、大腸内視鏡検査は大腸内の異常を早期発見するために必要な検査です。下剤のつらさを軽減する方法を知り、効果的に検査を受けましょう。

この記事では、大腸内視鏡検査で下剤がつらいといわれる理由や下剤が必要な理由、下剤の種類と飲む量などについて紹介します。最後に下剤のつらさを軽減する方法も紹介するので、大腸内視鏡検査を検討している方は、ぜひご覧ください。

大腸内視鏡検査で下剤がつらいといわれる理由

大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラでは、検査の前に『腸管洗浄液』という下剤を飲む必要があります。

しかし、大量の液体を飲まなければいけない、味がおいしくない、何度もトイレへ行かなければならない、腹痛や吐き気が起こったことがあるなどの理由から、下剤を飲むのがつらいと感じる方が多いのも事実です。

ここでは、大腸内視鏡検査で下剤がつらいといわれる理由について詳しく解説します。

大量の液体を飲む必要があるから

大腸内視鏡検査で下剤がつらいといわれる理由で多いのが『大量の液体を飲むのがつらい』というものです。

大腸内視鏡検査の前に服用する下剤は通常の下剤とは異なり、約2リットルもの液体を飲む必要があります。

特に初めて検査を受ける方は、検査の事前説明で下剤の説明を受けた時点で「こんなにたくさん飲めるわけがない」と思うことも多く、検査が始まる前から大腸内視鏡検査はつらいものなのだと感じてしまうことがあります。

味がよくないから

大量の下剤を飲むことに抵抗がない方でも、下剤の味があまりよくない、おいしくないことから、つらいと感じてしまうこともあります。

下剤の味は種類によって異なり、薄いスポーツドリンクのような味のものや梅キャンディーのような味のもの、薄い塩味のするもの、レモン風味のもの、オレンジ味のものなどさまざまです。

言葉で聞くだけではそれほどおいしくなさそうには感じませんが、下剤に含まれるクエン酸マグネシウムや塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、無水硫酸ナトリウムなどの成分に苦味が含まれているため、飲みにくく感じることがあります。

何度もトイレへ行く必要があるから

下剤は約2時間の時間をかけて飲み、その後1時間後くらいから徐々に排便が始まるのが一般的です。

トイレへ行く回数には個人差がありますが、大体5〜10回程度の排便があり、徐々に落ち着いていきます。

人によっては、自宅で下剤を飲んでクリニックへ行くまでにトイレへ行きたくならないか不安になったり、何度もトイレへ行くこと自体をつらいと感じたりする可能性もあるでしょう。

下剤の服用によって排便の回数が増えることで、トイレットペーパーの刺激で肛門周辺の皮膚に痛みが生じることもあるため、痛みが強い場合は検査前もしくは検査後に医師に相談してみることをおすすめします。

下剤によって腹痛や吐き気が起こることがあるから

下剤を服用すると、下剤で便を出すことによる脱水症状やそのときの体調などによって、稀に腹痛や吐き気、頭痛などの症状が現れることがあります。

特に女性は比較的下剤による腹痛や吐き気、嘔吐などが起こりやすいといわれているため注意が必要です。

以前大腸内視鏡検査を受けた際にこれらの症状が現れたことがある方は、今回の検査でもつらい思いをするのではないかと不安に感じてしまうかもしれません。

しかし、下剤の種類や服用方法などを工夫することで回避できる可能性があるため、事前に医師に相談しておくと安心です。

大腸内視鏡検査で下剤が必要な理由

大腸内視鏡検査は大腸内の炎症やポリープ、がんなどの腫瘍を発見するための重要な検査です。

肛門から小型のカメラがついたスコープを挿入して直接大腸内の観察をしますが、下剤を飲まないと腸内に便が残っていて視界を妨げてしまい、小さな病変を見逃してしまう恐れがあります。

病変を見逃してしまうと、大腸がんの発見が遅れて気づいたときには手遅れになってしまう可能性があります。

また、ポリープなどを切除した場合、大腸内に残った便によって切除した部位に炎症が起こりやすくなるため、下剤を服用して大腸内をきれいにしてから精密な検査を実施することが重要です。

大腸内視鏡検査で用いる下剤の種類と飲む量

大腸内視鏡検査で用いる下剤にはさまざまな種類があり、洗浄力や味、飲む量などが異なります。

ここでは、大腸内視鏡検査で用いる下剤の種類別の特徴とそれぞれの飲む量について紹介します。

モビプレップ

『モビプレップ』は比較的新しい下剤で、粉の入った容器に合計2リットルの水を入れて調整してから服用します。

服用量が約1〜1.5リットルと他の下剤と比べて少なく、腸管洗浄効果も高いため、多くの医療機関で使用されています。

味は梅のような酸っぱさがあり、適度な塩気も感じられるため、比較的飲みやすいといえるでしょう。

ただし、高齢者や腎臓機能が低下している方は使用できません。

ニフレック

『ニフレック』は、モビプレップが登場するまで多くの医療機関で使用されていた下剤です。

薬剤の入ったバッグに水を入れて2リットルにし、全量を2時間かけてゆっくりと飲みます。服用量はモビプレップよりも多く洗浄力もやや低めですが、ニフレックは体内にほとんど吸収されず電解質への影響もほとんどないため、高齢者や腎臓機能が低下している方でも使用できます。

味はスポーツドリンクよりも薄味で、レモンやグレープフルーツのような風味です。

ピコプレップ

『ピコプレップ』は内服量の少なさと味のよさが特徴の下剤です。

オレンジジュースのような味で飲みやすく、水に溶かした150ミリリットルの薬を2回飲むだけで済むため、下剤の味が苦手で大腸内視鏡検査を受けたくないと思っている方に向いていますが、腎臓に疾患がある方は服用できません。

ただし、洗浄力が弱くピコプレップのみの服用で検査を行うと、大腸内が洗浄しきれていない場合もあるため、服用する際は検査食の導入を早めたり別の下剤を追加したり、水を追加で飲んだりなどして対処する必要があります。

また、寝る前と起きてからの2回に分けて服用することから、寝ている間に便意が起きて睡眠不足になる可能性もある点に注意が必要です。

サルプレップ

『サルプレップ』はペットボトルに入った下剤です。480ミリリットルを2本服用し、水分もその倍の量飲む必要があります。

これまでは水を入れて自分で下剤を作らなければいけませんでしたが、サルプレップはすでに完成された状態でペットボトルに入っているため、手間がかからないのが特徴です。

味はレモンやグレープフルーツのような風味で、後味が苦く感じる場合もあります。人によっては飲みにくいと感じるかもしれません。

また、腎臓に疾患がある場合は服用できないため注意しましょう。

マグコロールP

『マグコロールP』は長きにわたって広く使用されている下剤です。スポーツドリンクのような味で飲みやすいと感じる方が多いといわれています。

薬剤の入ったパックに水を1800ミリリットル入れ、約1時間30分かけてゆっくりと飲んでいきます。

しかし、モビプレップと比べて若干洗浄力が劣るため、服用量が多くなることを理解しておきましょう。

なお、マグコロールPも腎臓に疾患がある方は服用できないため、その他の下剤を選択する必要があります。

ビジクリア

『ビジクリア』は錠剤と水分を一緒に飲む下剤です。錠剤だからといって洗浄力に問題はありませんが、前日に別の下剤を追加することもあります。

水やお茶、麦茶、ウーロン茶、無糖の紅茶などで服用できることから味に苦痛を感じることはありませんが、錠剤が大きいうえに2リットルの水分と錠剤50錠を、2時間〜2時間30分の間に定期的に服用する必要があるため、人によってはつらいと感じるかもしれません。

また、心臓や腎臓に疾患がある方や65歳以上の方、高血圧で治療を受けている方は服用できない点に注意が必要です。

大腸内視鏡検査で下剤のつらさを軽減する方法

大腸内視鏡検査は、40歳を超えたら早めに受けておくべき検査です。

しかし「下剤がつらい」「飲むのが大変」など、周囲の人からそのような話を聞くと、検査を受けることを躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

ここでは、大腸内視鏡検査で下剤のつらさを軽減する方法を紹介します。

前日の食事内容に注意する

下剤のつらさを軽減するためには、前日の食事内容に注意することが大切です。消化のよい食べ物を摂取することで、下剤による身体への負担を軽減することにつながります。

例えば、素うどんやおかゆ、豆腐、食パン、ジャガイモ、白身魚などを食べすぎない程度に食べるようにして、食物繊維の多い野菜やきのこ類、海藻などは控えるようにしましょう。

また、脂質を多く含む食べ物も、消化に時間がかかってしまうため、脂肪分の多い肉や加工肉、魚は控え、油をできるだけ使わないよう調理することをおすすめします。

下剤の種類を選べるクリニックで検査を受ける

自分に合った下剤を選ぶことも、大腸内視鏡検査でつらい思いをしないために重要です。そのためにも、下剤の種類を選べるクリニックで検査を受けることをおすすめします。

下剤が選べるクリニックでは、ホームページなどで下剤の種類を紹介しているところもあるため、事前に確認しておくと、安心して受診できます。

味がよい方がいいのか、飲む量が少ない方がいいのか、持病はあるのか、洗浄完了までの時間が短い方がいいのかなど、自分がどこを重視するのかを考えて下剤を選ぶようにしましょう。

下剤の味を変えながら飲む

下剤をできるだけ楽に飲み終えるには、飴を舐めながら飲むなど下剤の味を変えながら飲むのもひとつの方法です。

下剤の種類が選べず飲みにくい、どの下剤の味も苦手という場合、下剤の服用がかなりのストレスになってしまうため、試してみるとよいでしょう。

また、冷たい飲み物で下剤を割って飲むと飲みやすくなる可能性もあります。水に氷を入れたりスポーツドリンクで割ったりなどして工夫してみるのもおすすめです。

下剤を飲まない検査を行っているクリニックを選ぶ

当院では下剤を飲まない大腸内視鏡検査を行っているクリニックもあります。

下剤を飲まずに検査を行う方法には主に2種類あり、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と大腸内視鏡検査を同日に受ける場合に胃カメラを通じて下剤を注入する方法と、鼻からチューブを挿入して下剤を胃に入れていく方法があるため、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。

2日に分けて下剤を飲む

下剤の量が多すぎて飲みきれない場合は、2日に分けて飲むことができる下剤を選んだり、医師と相談のうえで前日と当日の2回に分けて飲んだりするのがおすすめです。

クリニックによっては、下剤を2日に分けて飲む場合は前日から入院して食事の管理まで行う場合もあるため、心配であればそのような体制の整っているところを選ぶのもよいでしょう。

リラックスできる環境で下剤を飲む

下剤のつらさを軽減するには、リラックスできる環境で飲むことも大切です。

下剤を飲むと何度もトイレへ行かなければならないため、ほとんどの方が自宅で下剤を服用して腸管洗浄を終えた状態で来院します。

自宅で飲んだ方がリラックスできるのであれば問題ありませんが、人によっては自宅で服用するのが不安だという場合もあります。

そのような場合は、クリニックで下剤を服用できる環境が整っているかどうか、事前に確かめておくとよいでしょう。

まとめ

大腸内視鏡検査では検査の前に下剤を服用しますが、大量の下剤を飲む必要があること、下剤の味がおいしくないこと、何度もトイレへ行かなければならないこと、腹痛や吐き気などが起こる可能性があることから、つらい思いをすることがあります。

しかし大腸内視鏡検査は大腸内の炎症やポリープ、がんなど大腸内の異常を発見するために、40歳を超えたら定期的に受けておくべき検査であるため、今回紹介した下剤のつらさを軽減する方法を参考にしてみてください。

東長崎駅前内科クリニックでは、胃カメラと大腸カメラの同日検査を行っていて、患者様ご自身で下剤を服用せずに大腸カメラを受けていただくことができます。

ご自身で下剤を服用される場合も、下剤を飲む場所を自宅か院内かで選んでいただけます。

また、検査中の痛みについても、できるだけ苦痛の少ない方法を取り入れています。鎮静剤や全身麻酔にも対応しておりますので、大腸内視鏡検査を検討されている方は、ぜひ東長崎駅前内科クリニックまでお気軽にご相談ください。

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