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補聴器を
購入するまで
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医師の診察・問診
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医師に耳の中の様子を見てもらったり、ご自身の聞こえについて困っていることなどを相談します。
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聴力の程度を調べる
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純音聴力検査でどの程度聴力が落ちているか、また、伝音難聴か感音難聴かを検査します。また、聴力の左右差はないか、どんな音が聞こえないのかなども調べます。純音聴力検査と語音検査(言葉の聞き取り)の結果、日常生活での会話の様子、現役世代か退職しているかなどの生活の様子を伺い、医師が補聴器の必要性を判断します。ご本人と相談の上、補聴器を使ってみようという方には、補聴器外来の予約をとっていただきます。
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補聴器の試聴と貸し出し
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どちらの耳に補聴器を装用したらいいのかは、語音検査の結果と不快レベル検査(どの程度の音量になると聞いて不快になるか)を合わせて判断します。通常は言葉をよく聞き取れる方の耳に装用します。受話器をどちらの手で持つかも参考にします。左右にさほど差がない人なら、ご本人の希望で決めたり、両方の耳を試して比べてから決めることも可能です。
販売店に直接行くと両耳装用を強く勧める店もありますが、補聴器は決して安価ではないので、まず片耳の補聴器の調整から始めるのがよいでしょう。現職で会議が多い場合や、よく聞こえる側の耳でも語音検査の結果がよくない場合は両耳装用が効果的なので、片耳装用から始めて、調整していく過程で検討してもいいでしょう。
補聴器を試す耳が決まったら、補聴器調整のスペシャリスト・認定補聴器技能者が医師と相談して、聴力に合わせた補聴器の調整をします。
補聴器の調整
- 使う人の聞こえにくい周波数を補うように音の調整と必要な音の強さを決めます。1
- 大きな音が不快にならないように音の上限を決定し、雑音抑制機能をonにします。2
- イヤホンはとりあえず既成のものを使いますが、うまくフィットしなければ最終的には耳型を取ってご本人に合わせます。3
- 最初は耳かけ型の補聴器を使い、ここまでの調整で聴力と言葉の聞き取りがどれくらい改善したかを調べます。4
その結果、補聴器の効果が認められた場合、ご自分の声が響かないか、紙をめくる音や金属的な音が気にならないかなども含めさらに微調整します。
初めて補聴器を装用する方には、本来必要な聞こえのレベルの70%くらいから始めて、徐々に音に慣らしていきます。 - このような調整を「補聴器適合検査」といいますが、効果があり、かつ雑音が入らない、自分の声や高い音が響かない、騒音の中でも不快を感じない…ことなどが確認出来たら、使い方をご説明し2週間くらいの貸し出し、次の受診を予約します。5
ご高齢で手先の動きが悪い方の場合、耳かけ型ではなくポケット型の補聴器を貸し出すこともあります。
貸し出しの際に補聴器の使用状況に関するアンケートをお渡しします。
アンケートの主な内容は、どのような場所で使ったか、テレビのニュースが理解出来たか、家族との会話やグループでの会話はどうだったか、スーパーなどの人混みでの会話はどうだったか、使ってみて満足したか…などです。 - 約2週間の試聴ののち、再受診します。6
使ってみて問題があれば補聴器の再調整のほか、機種を変えてみたり補聴器を装用する側を変えてみたりすることもあります。
この際、目立たないものを希望される方は耳穴型への変更を検討しますが、聴力の状態によっては耳穴型では十分な聞こえが得られないので、ご希望に添えない場合もあります。
変更した場合は、また聞こえの検査をして貸し出し再受診。
これを満足がいくまで繰り返します。
このように補聴器は、導入するのに手間暇をかけて初めて満足できる使い心地を得られる医療器具なのです。
ですから、通信販売で購入した補聴器(多くは集音器)がうまくいく人は少なく、そんな人からの補聴器に対するよくない評判を聞いて補聴器を導入するのをためらうのはとても残念に思います。