補聴器の種類

電気信号による種類

補聴器は入ってくる音を増幅させて聞こえの悪い方の機能障害を補う器械で、音が聞き取りやすいように、入ってくる音を加工して伝えます。この加工の仕方によって、大きく分けて「アナログ補聴器」「デジタル補聴器」という2つのタイプがあります。

アナログ補聴器は、マイクで取り込んだ音の増幅・調整をアナログ信号で行って、聞こえをサポートする補聴器です。一方、デジタル補聴器はマイクで取り込んだ音を、高性能なICチップなどを使ってデジタル信号として処理します。デジタル信号の処理技術が発達・進化したので、雑音を抑制して「聞きたい音・声」を増幅したり、周囲の環境などに合わせ音質や音量を自動で制御したり、一人ひとりの聞こえの程度や耳の状態に合わせて細かく調整したりすることが可能になりました。
ただし、デジタル補聴器といっても一部しかデジタルになっていない補聴器もあるので、必ずしも性能がよいというわけではありませんし、使う人の耳の状態によっては、アナログ補聴器でも十分に効果が得られることもあるので、値段が高いものがベストな補聴器とは限りません。機能もさまざま、価格も1台数万円から数十万円までと幅が広い補聴器なので、補聴器を上手に使うには補聴器外来を持つ耳鼻咽喉科の補聴器相談医を受診し、調整していくのがよいと思います。

→詳しくは【補聴器の技術的進歩】へ

形状の違いによる種類

補聴器の種類を形状で分けると、大きく 「耳かけ型」「耳穴型」「ポケット型」の3つに分類することができます。現在、もっとも使われているのが耳かけ型で、ある調査によれば販売数全体の56%を占めています。
次に多いのが耳穴型38%で、ポケット型は6.6%程度です。その他に「メガネ型補聴器」といって、眼鏡と補聴器が一体化したものもありますが、眼と耳両方の調整が必要なので、使っている人は極めて少ないです。

耳かけ型の補聴器

耳かけ型の補聴器は、耳の後ろにかけて使用する補聴器で、耳穴型よりサイズが大きくなりますが、大きいということはさまざまな機能を搭載させることができるので、多機能な器種が多くなっています。ですから、中等度難聴から高度難聴まで対応ができますし、耳の穴が小さい方でも使っていただけます。また、電池も比較的大きなものを使えるため、電池の持ちが良いことも耳かけ型のメリットです。

耳穴型の補聴器

耳穴型の補聴器は、小さく目立たないというメリットがあります。耳穴型補聴器でも大きさに違いがあり、外から見えるものから、耳の穴にすっぽり入るものまであります。耳の穴にすっぽり入るものは、サイズが小さいので大きな音量が得にくく、軽度から中等度の難聴の方に向いています。カナルといって耳の穴の入り口までを塞ぐ形状のものは、目立たないことと機能性の両方をそれなりに兼ね備えている補聴器といえるでしょう。コロナ対策などでマスクをかけることの多い昨今、眼鏡やマスク、防止の着脱がしやすいことも耳穴型のメリットです。

ポケット型の補聴器

ポケット型の補聴器は、補聴器本体を胸ポケットなどに入れたり首から下げたりして、イヤホンを耳の穴に入れて使うタイプです。本体のサイズが小型のラジオくらいあるので、手先が器用でなくても操作が簡単なのが大きなメリットです。耳への装用感が気になる人や、できるだけ簡単に使いたいという人、手指の動きが鈍くなったという人にはむいていると思います。マイクとイヤホンが離れているので、「ハウリング」と呼ばれる不快なピーピー音が発生しにくいのも、ポケット型の補聴器の特長です。

→次は【補聴器の技術的進歩】

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