後鼻漏症候群について
まだまだ春と言っても今年は天候不順で体調管理が難しい時期です。当院を受診される患者さんで上記あまり聞きなれない病名でお悩みの方がこの時期特に多いので解説します。
【解説】
鼻の前に流れてくる場合を前鼻漏(ぜんびろう)、のどの方へ廻って落ちてゆく場合に後鼻漏(こうびろう)といいます。後鼻漏症候群とは鼻汁が下気道に下がってくることによって起こる総称です。
正常な人では、鼻、口、喉から、1日約1Lの分泌液が排泄されています。その多くの分泌液はのどを通って、食道から胃に降りていきますが、ほとんどその自覚はないと思います。これは、分泌液は、本来粘性のないサラサラの液体だからです。
しかしながら、何らかの原因で、鼻汁の分泌が過剰になったり、何か粘性のあるものが混じったりして、以前と分泌液の性質が異なると不快感を伴うようになります。
その他、口臭の原因となったり、喉の痛み、喉の奥に痰がからまっているような違和感、咳を伴うこともあります。
また加齢に伴って、鼻の粘膜が萎縮して粘膜が過敏になったりすると、その炎症により鼻水が多く出て、のどに流れてくる頻度も高まります。
治療法としては、原因疾患に対しての治療と、二次的に下気道への刺激、影響を防ぐための治療(去痰薬や抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、漢方薬等)の両方が必要です。またネブライザーによる吸入療法が有効となることも多いです。
原因疾患にもよりますが、難治性のケースも多く、乾いた空気が、粘液や粘膜を乾燥させて炎症を増長するため、適度な湿度を保つ、あるいは口だけマスクをして寝るようにすることもお勧めしています。こまめに水分をとることも、鼻汁を水様にするのに役立ちます。一回摂取量は少なくてもかまいません。日頃からの体調管理とうがい・手洗いも心掛けるようにしましょう。根気よく普段の生活から気をつけることが重要です。
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