胃粘膜下腫瘍 ~胃バリウム検査の再検査でよくいらっしゃいます~

文字通り胃の正常粘膜の下に存在する腫瘍のことであり、腫瘍の表面は正常粘膜で覆われているため内視鏡検査では正常粘膜が盛り上がっているように見えます。
 良性のものは筋細胞が増殖した平滑筋腫が多く、次いで異所性膵、脂肪腫、神経原性腫瘍と呼ばれるものがあります、悪性のものはGIST(ジスト)、悪性リンパ腫、カルチノイドなどの種類があります。

症状

 症状はきたさないことが大半です。腫瘍が大きくなると腫瘍からの出血で下血(主に黒色便)や貧血をきたすことがあります。

検査

 胃X線検査(胃レントゲン検査)、内視鏡(胃カメラ)を用いた検査で腫瘍が見つかることが多いです。前述のように粘膜の下に隠れているので腫瘍の種類を同定するためには、CT・MRIでの画像検査を施行し、超音波内視鏡(EUS)を用いた穿刺吸引術(EUS-FNA)で組織の種類を診る必要あります。

治療

 腫瘍のサイズ、形態、進展範囲などによってさまざまで、経過観察、切除、抗がん剤治療が行われます。 経過観察の場合は年に1-2回の内視鏡検査が必要です。切除方法は腫瘍のサイズなどによって、開腹手術ではなく内視鏡や腹腔鏡を用いて行われることもあります。最近では腫瘍の切除範囲を可能な限り縮小させるために、腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)が行われるようになり2014年から保険収載が可能となりました。
一般的には長期間大きくならないものは経過観察されるケースが多いです。胃カメラなど検査で初めて見つかった場合は大きさや形によって精密検査や経過観察などの判断をいたします。

腫瘍イラスト腫瘍写真

1) 後藤修ら:胃粘膜下腫瘍へのアプローチ:日本内科学会雑誌104巻1号:128-132, 2015.
2) 吉永繁高ら:消化管粘膜下腫瘍の診断治療戦略:医学のあゆみ vol.245 No.11:925-931, 2013.

著者
東長崎駅前内科クリニック 院長 吉良文孝
資格
日本内科学会認定 認定内科医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
経歴
平成15年 東京慈恵会医科大学 卒業
平成15年 東京警察病院
平成23年 JCHO東京新宿メディカルセンター
平成29年 株式会社サイキンソーCMEO
平成30年 東長崎駅前内科クリニック開院
 
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